ME&YOU 11月号より

『 顎関節症について 』

複合施設ホリスティカかまた
厚生会クリニック 歯科
大貫 敬嘉


あごの関節(顎関節)は両耳の前にあります。 1 つの骨に対し、両側性にある、体の中で唯一の関節です。両耳の前の部分を指で当てて、口を動かすと、関節の軸が動いていることを確かめられます。下あごと頭蓋骨の間には、関節円板があり、骨への衝撃を抑えるクッションの役目をはたしております。

顎関節症とは、口を開けると「カクッ」または「ザリザリ」と音が鳴る、口を開けたり、物をたべたりするとあごが痛い、口が開きにくい、または、開かない等の主な症状を示す慢性疾患の診断名です。それほど、珍しい病気ではありません。うまく付き合えば、恐ろしい病気ではありません。その他に、耳の痛み、耳閉感、難聴、めまい、眼精疲労といった眼や耳の症状、頭痛や首、肩のこり等の症状を示す場合もあります。顎関節症は子供から大人まで、幅広くみられますが、20歳代から30歳代の女性に多くみられる傾向にあります。

顎関節症は、はぎしりやくいしばりなどにより顎関節やその周囲の筋肉にくわわる異常な力、歯のかぶせ物などによるかみ合わせの異常などの要因で発症します。また、大きく口をあけてあくびしたり、大笑いしたり、何気ない動作や、カラオケ、寝違え、頬杖などの生活習慣、仕事の変化と肉体的心理的ストレスにより、顎関節症の症状が出現する場合もあります。様々な要因の積み重ねにより、顎関節症が発症すると考えられております。

分類は顎関節周囲を支えている筋肉の障害による「筋性」と、顎関節そのものの障害による「関節性」の二つに大きくわけられます。

診断は基本的に顎関節症の主要3症状、つまり、あごの痛み、口が開きにくい、口を開けると音がすることを検索することによって診断しております。ほかに、触診、問診、顎関節部のX線などの画像診断や、顎運動検査を行い、原因を検索します。

顎関節症の治療は原則として、原因を除去する治療法が主となります。顎の安静を図るため、まず、日常生活でくいしばり等の力みがないか、自己チェックを行います。普段の力みをとるだけで、かなりの方の症状に改善を認めます。痛みが強い場合、痛み止めのお薬を飲むことがあります。それでも改善しない場合、スプリントというマウスピース様の装置を就寝時、お口にはめます。就寝時にみられる、はぎしりは、顎への負担をかけ、顎関節症を悪化をもたらします。スプリントは、サポーターのような役目をし、はぎしりのあごへの負担を軽減させ、症状を緩和します。また、関節円板のズレにより、顎関節の動きに障害を認め、お口が開きにくいまたは、開かないことがあります。そのとき、顎関節内に注射をし、 関節の動きや痛みの改善を図ることもあります。

顎関節症と類似した症状を持つほかの疾患もあります。ほかの疾患との鑑別診断は重要です。顎関節症と同じようなあごの症状を認めた場合、まずは、専門の歯科医師にご相談されることをお勧め致します。