ME&YOU 5月号より

貧血について

社会医療法人福島厚生会
福島第一病院
内科部長 板橋 孝


今回は貧血についてお話をしたいと思います。

 

Q . 貧血の症状とは?

A . 顔色不良、易疲労感、倦怠感、動悸、息切れ、めまい等があります。

ここで注意!!

しかし、貧血が徐々に起こると、あまり自覚症状が出現せず、自分では気がつかない場合も多いのです。

 

Q . 貧血の基準は?

A . 医師は貧血を疑ったら、診察と共に、血算(血球算定試験)の採血をします。血色素量(ヘモグロビン)(単位はg/?)で成人男性13、成人女性12、小児12、高齢者11、未満を目安とします。

ここで注意!!

赤血球は目安にしません。何故なら、実際には貧血があり、血色素量も低下しているにもかかわらず、赤血球数は減少してないことがあるためです。鉄欠乏性貧血の初期にみられます。

 

Q . 貧血の分類は?

A . 簡単な分類は、血算の MCV (平均赤血球容積)を用いて、

MCV 80未満 小球性貧血、 MCV  80〜100 正球性貧血、 MCV  100を超える 大球性貧血に分類します。

 

Q . どんな疾患があるの?

小球性貧血には、鉄欠乏性貧血、地中海貧血、慢性炎症性疾患に伴う貧血などがあります。

正球性貧血には、溶血性貧血、再生不良性貧血、腎性貧血、骨髄異形成症候群、白血病、急性の出血などがあります。

大球性貧血には、巨赤芽球性貧血、溶血性貧血の一部(網状赤血球著増の時)、肝疾患の一部などがあります。

 

Q . 一番多い貧血は?

A . たくさんの病気、疾患名が出てきましたが、一番多い貧血は、鉄欠乏性貧血です。

 

Q . 鉄欠乏性貧血とは?

A . 赤血球の中に含まれているヘモグロビンは、6 % のヘムと94 % のグロビンから成ってます。

ヘムは鉄の化合物なので、鉄分が不足すると、ヘモグロビンが作れなくなります。大事なことは、何故鉄欠乏性貧血になったか、その原因の追究です。男性ですと、消化管からの出血が一番多く考えられます。胃カメラ、大腸カメラ等で異常がないかどうかを調べることが大事です。女性ですと、消化管からの出血に加えて、生理、生理過多、子宮筋腫による生理過多があります。

ここで注意!!

若年者では、身長が著しく伸びたりする時、赤血球の造血が追い付かず鉄欠乏性貧血になることがあります。また、生理過多による鉄欠乏性貧血の時でも、ひどくなると、まれには輸血の適応とされる血色素量(ヘモグロビン)6g/?未満になることがありますが、鉄剤の使用で改善しますから、よほどでない限り輸血はしなくて大丈夫です。    

 

Q. 鉄欠乏性貧血の治療は?

A.不足した鉄分を鉄剤で補います。

Q.鉄分の多い食事では治りませんか?

A.一旦鉄欠乏性貧血になると、食物中に含まれる鉄の量は限りがありますから、食事だけでは治りません。鉄の含有量の多いヒジキで1日200gレバーで1s食べないと鉄剤1錠分ならないので、実際には無理ですね。

 

Q.鉄剤を内服する時はお茶を飲めないと聞きましたが?

A.大丈夫です。確かにお茶に含まれるタンニン酸が鉄と結合して吸収を妨げるのですが、わずかなので、お茶は止めなくて大丈夫です。

ここで注意!!

鉄剤の内服で貧血が改善しても、すぐには治療を止めないで下さい。体内の鉄の不足を回復させるため、さらに2〜3カ月内服を続けて下さい。

最後に鉄剤を内服すると、おつうじが真っ黒になりますが、びっくりしないで下さい。