ME&YOU 4月号より

『食育』

特定・特別医療法人福島厚生会
福島第一病院 
管理栄養士 小柳 恵美


ここ数年、生活習慣病の予備軍といわれる子供が増えています。また、「イライラする子供」や「キレる子供」が目立ち、犯罪の低年齢化が深刻な社会問題となっています。これらの問題は食生活の乱れと大きく関連しているともいわれています。そこで今、子供たちへの「食育」に注目が集まっています。

「食育とは」?

「食育」とは体にいい食べ物を選ぶ目を育て、「食」の大切さを学び、好ましい食習慣と豊かなこころを身につける教育です。しかし、時代の変化と共に家族のあり方やライフスタイルは大きく様変わりし、食に関する知識を得、興味を持つ機会も少なくなっています。とはいえ、「食」の基本は家庭にあると思います。子供の「食育」とともに、周りの大人たちも正しい食習慣を身につけていくことが大切でしょう。

「何をどのくらい食べるか」というと「1日30食品」を思い起こす方が多いのではないでしょうか。しかし、数字だけにこだわりすぎると、過食につながる害も考えられます。「品数多く食べる」という基本精神はとても大事なことなので、そこに腹八分目を付け加えることをお忘れなく!食事の組み合わせとしては「ご飯(主食)に一汁三菜」を基本に考えると良いでしょう。 主食・主菜・副菜をそろえた「日本型食生活」は栄養バランスがとりやすい食事のあり方として、世界的にも注目されています。しかしその一方で、日本人の食生活は簡便化傾向にあり、「主食」「主菜」「副菜」がどういったものかを知らない子供たちが増えているようです。「主菜」は、肉や魚・大豆製品・卵などを主材料にしたメインの料理をさします。「副菜」は、主に野菜・きのこ・海藻を使った料理、その他漬け物や常備菜です。できれば・・主菜と副菜は主材料や味付け、調理法が重ならないように。それから主菜が「刺身」のような冷たいものであれば、副菜は温かい「煮物」にするなどの一手間があるとよいでしょう。また、大皿盛りにするとつい好きなものばかりに手が出てしまうものです。最初から1人前ずつ皿に盛ることで、それ以上食べることも、残すこともなくなり偏食を防ぐことができます。

お惣菜の上手な取り入れ方

スーパーのお総菜やお弁当などを買ってきて家で食べるいわゆる「中食」も現代では当たり前になりつつあります。ひと昔前は、市販の総菜などケシカラン!と言われたものですが、最近はバラエティに富んだメニューが増え、こうしたものを上手く活用していくことも芸のうちではないかと。利用する際のポイントとしては、全部を市販品でまかなうのではなく、家にあるものと組み合わせることです。例えば鶏の唐揚げやコロッケといった主菜だけを買って、ご飯と副菜は手作りで。とか、お寿司や丼物なら手作りの具だくさん汁物をプラスするなど。さらに、味の濃い煮物場合「ひじきの煮物」なら糸コンニャクを入れて煮直す、「きんぴら」は卵でとじるといった方法もお勧めです。

この季節、新入生や新社会人の皆様にとって歓迎会などによるお酒の飲み過ぎや、環境の変化によるストレスで、肝臓や胃腸に負担をかけてしまいがちです。また、春休み明けのお子様の中には元の生活のリズムに体がついていけないという方もいるのではないでしょうか。この時期を健康で乗り切るための食事アドバイスをご紹介いたします。
@お酒を飲む機会が多い場合 (肝臓が疲れたときに補給したい栄養素)・・・「タウリン」はアミノ酸の一種で肝臓の機能を高めてくれます。★タウリンの多い食品:魚介類に豊富。特にマグロやカツオの血合い部分、カキなどの貝類「ビタミンB群」肝臓の代謝をバックアップする成分です。★ビタミンB群の多い食品:レバー・豚肉・大豆製品・乳製品・きのこ類・バナナなど。
A夜遅い夕食が続く場合・・・「低カロリーで消化が良い食事」が基本です。夜遅い食事は、とったエネルギーが消費されにくいので肥満の原因に。また消化に時間がかかると睡眠の妨げにもなります。消化が良くてたんぱく質の多い豆腐・卵・白身魚・豚ヒレ肉・鶏ささ身などと、水分が多くて繊維の少ない白菜や大根・カブを上手く組み合わせてとることをおすすめいたします。
B外食が続く場合・・・外食は野菜が不足しがちで、逆にたんぱく質や脂質はとり過ぎる傾向があります。家庭では野菜をたっぷりととり、油や魚・肉は控えめにすることを心がけましょう。
C生活リズムをリセットする場合・・・朝食を食べると消化管の活動や脳の働きが活発になります。体温も上がり体が目覚める後押しをしてくれます。したがってお子様を朝早めに起こし、朝食をとることが第一です。その際、前日の夕食が遅いと朝の食欲に影響するので、夕食は早めに済ませるとよいでしょう。

この時期は一人暮らしを始めたり、新しい学校や職場に通うようになったりと、新生活をスタートさせるという方も多いのではないでしょうか。学業でも、仕事でも体は最も大切な道具です。「食べる」ことこそが、人間のからだを形成し、健康の保持・増進に大きく関わる行為です。新しい季節の訪れと共に、皆様も日頃の食生活を見つめ直してみてはいかがでしょう。 【プロフィル】 こやなぎ小柳えみ恵美 福島市出身。H14年7月より福島第一病院 栄養管理科勤務。管理栄養士による栄養指導を行っております。また医師、薬剤師、管理栄養士による糖尿病教室を開催しております。お問い合わせ:福島第一病院 栄養管理科 024-557-5111までご連絡ください。