ME&YOU12月号より

口腔外科について
〜口の中の手術が対象となる、さまざまな病気を治療〜

特定・特別医療法人福島厚生会
複合施設ホリスティカかまた 厚生会クリニック
歯科医師  大貫 敬嘉


口やアゴを構成する歯や骨、口やアゴに関連する顎関節や筋肉、血管、神経、唾液腺などで様々な病気があります。口腔外科はこれらの病気において、主として手術が対象となるものを取り扱い、その診断と治療を行う臨床科です。ほかに、舌や口の中の粘膜、あるいは、顎の骨の炎症のように薬を使って治療を行う病気も含みます。診療内容の一部は以下のとおりです。
歯およびその周囲の疾患
 一般開業医では困難な"おやしらず"などの抜歯を行います。また、歯の根っこの治療だけで治らなかったため、歯茎を切って、骨を削り、根の尖端を切除することも行います。
顎や口腔内の炎症  虫歯や歯槽膿漏のバイ菌が原因で、口の中や頬、顎の下に膿がたまることがあります。その際、腫れたところを切って膿を出し、また、抗生剤の点滴などして炎症を抑えます。
顎や歯、口、顔面領域の外傷の治療
 顎顔面外傷には、交通事故、転倒、作業事故、スポーツ、殴打など種々の原因により顔面の損傷、あごの骨折、歯の脱臼・破折などがあります。口腔外科では、見た目にこだわるだけでなく、会話や食事などの機能回復を重要視した治療を行います。骨折の治療は、上下の歯をワイヤーで結び口があかないように固定する方法(顎間固定)と、手術により骨折部をチタンのプレートとスクリューで固定する方法があります。
嚢胞(のうほう:顎の中や口の中にできた液の入った袋)の治療
 嚢胞は、口腔外科領域では頻度の高い病気です。顎の骨にできた嚢胞は、小さいとき、無症状のことが多いが、大きくなると歯茎の腫れや歯の動揺を伴ってきます。そのような場合、歯の根の治療や外科的に摘出する必要があります。
顎関節疾患、特に顎関節症の治療  口を開けるとアゴが痛い場合や音がする場合、また、口が開きにくい場合、顎関節症が疑われます。歯ぎしりやくいしばりが原因であることが多い。治療として、痛み止めを飲んだり、寝るときにマウスピースをはめたりする。口が開きにくい場合、関節の中を洗浄し、関節の動きをよくする。
腫瘍(顎の中や口の中のできもの)の治療
 口の中にも様々な良性、悪性の腫瘍が発生します。なかでも悪性腫瘍(癌)は舌や歯肉に多く見られ、症状としては"粘膜のただれ"や、"治りにくい潰瘍"や"しこり"が特徴です。 口は食事や会話と重要な役割を持っているため、治療後の機能障害を最小限にすることが重要です。そのため、早期発見・早期治療が大切です。治療法は、進行度によって異なり、手術療法・化学療法・放射線療法の組み合わせで治療を行います。最近では、腫瘍切除後のアゴや口の再建外科も進歩し、機能や見た目もかなり回復されます。
有病者・障害者に対する歯科治療
 狭心症や心筋梗塞などの循環器疾患や、重度糖尿病などの疾患の方で、一般開業医では対応が困難な場合があります。口腔外科では、内科主治医と連携を取りながら処置を行うことが可能です。また、眠らせるお薬を使い、障害者の治療も可能です。 そのほかにこうしん口唇こうがい口蓋れつ裂などの先天異常の治療、受け口や顔が曲がってみえる顎変形症の治療、歯がなくなったところに人工の歯をいれるインプラント治療なども行います。見た目や食事・会話の改善がかなり回復されます。