ME&YOU11月号より

アンチエイジングのすべて
〜元気で長寿を享受するために〜

特定・特別医療法人福島厚生会
福島第一病院
理事長
星野 俊一


【アンチエイジングの意義
 日本の平均寿命は世界のトップクラスにあり、100歳以上の人口は3万人を超えています。この長寿の要因としては国民皆保険システムもあり誰でも質の高い医療を受けることができること、健康的な日本食を摂取してきたこと、長寿に関与する遺伝子を有していること、および戦争がなく平和であることなどが挙げられます。
 その反面、人口増加率の低下も加わり、高齢化社会が加速している状況でもあります。現在の実情は増加した高齢者の多くは、良好な健康状態を維持し人生をエンジョイしているかというと疑問が残ります。それは平均寿命と健康寿命(健康で活動的に生活をおくる年数)の間には7〜8年の差があり、長い間寝たきり或いはそれに近い状態の患者の増加がみられるからです。自分自身が寝たきりにならないために、危機感をもって真剣に対策を講じなければならない時代になったという事実をまず認識しなければなりません。 エイジング(加齢)とともに増加する生活習慣病や老化現象の治療や予防についての理解を持ち、年齢を重ねても、"若さ"と"健康"を維持するアンチエイジング医学の導入と普及が最も大事なことと考えています。
アンチエイジング医学について
 アンチエイジング医学は元気で、長寿を享受することを目指す医学と定義することができます。従って健康保険で対象となるような病気の治療は非常に限定された狭義の医学とは異なります。紀元前のヒポクラテス以来のギリシャ医学の伝統的な医学の概念そのものであります。それは健康を保持し続けるための医学であり、自然の回復力を重視する医学です。
病気の早期発見、早期治療では遅すぎる
 これまでの医学は病気を治すことに主眼がおかれていました。病気を初期の段階で発見して早く治療を開始するという発想です。これに対してアンチエイジング医学は「早期発見・早期治療」では遅すぎるという考えが前提です。「病気にならない」ために「細胞の老化」を来す元凶を体の中からできるだけ除去してしまうという発想なのです。その結果としてすべての人がQOL(生活の質)を良好に保ちつつ天寿を全うするようになることが最終目標です。
何が身体を老化させるのか
 人体はさまざまな物質が溶け込んで溶液と蛋白質からできています。これらが細胞レベルで複雑な化学反応を起し生命活動を行っています。老化を防ぐということは細胞レベルで起こっている反応をコントロールすることです。細胞たちがいつまでも正常に活動し続ければ老いることはありません。しかし、体の中にはその細胞を傷つけたり、殺してしまう悪役が存在しています。それがフリーラジカルというものです。これは危険な性質をもつ原子や分子で、体の中の至るところで発生し体を衰えさせるもので、よく耳にする活性酸素もこの仲間です。フリーラジカルは体を衰えさせますが、これが老化の元凶です。フリーラジカルの発生源としては食べ過ぎ、飲み過ぎ、ストレス、たばこ、紫外線、排気ガスなどがあり、日常生活の中にどこにでもあるものです。
老化を防ぐ工夫 − その1:適切な運動
 老化を防ぐその最も有効な手段は運動習慣と抗酸化物質の摂取です。筋肉の量は40歳頃から1年で1%減るといわれています。上半身より下半身のほうが早く減少してきます。筋肉が衰えると、転び易くなり、足や腰の骨折を起し、寝たきりになることが健康寿命を短くする一番の原因となっています。適切な運動によっては90歳以上でも筋肉が増える報告もありますのであきらめるのはまだ早いです。
【老化を防ぐ工夫 − その2:抗酸化物質の摂取
 老化を防ぐには抗酸化物質を体内に補給し、フリーラジカルを除去してしまうのがポイントです。抗酸化物質とはふだん食べている野菜や果物にも含まれている成分です。日常の食事に合わせて身体に適切なサプリメントとして抗酸化物質を摂取することも、老化を食い止めるのに役立ちます。サプリメントに関する情報は満ち溢れていますが、適切でないサプリメントもあり要注意です。不規則な食生活でファーストフードやインスタント食品を多くとっていると、ビタミンやミネラルなど抗酸化作用をもつ大切な栄養素が不足してきます。また、脂肪分の多い欧米型の食事は脂肪分が蓄積されやすく、体は酸化されやすくなってしまいます。近年増加している心筋梗塞や大腸ガンはその表れともいえます。
【"ホリスティカ かまた"の目ざすもの
 ホリスティカかまたはアンチエイジング医学の目標である"元気で長生きする"を実践するお手伝いする新しい発想で設立されました。病気になってからの対策では仕事の面でも、経済面でも損な人生を送る破目にもなりかねません。そのためには、まず現在の自分の体の環境を知り、対策を講ずることが必要です。現在の医学は一般検診や人間ドックで行う検査ではやらない健康状態のチェックも可能となりました。これがアンチエイジング・ドックです。ホリスティカかまたの目ざすものの1つです。
 アンチエイジング・ドックには各種のコースがあります。メタボリックシンドローム対策用のドックもあります。アンチエイジング・ドックから得られたデーターを医師、サプリメントアドバイザー、健康運動指導士、保健師がチームを組んで詳細に分析して、その結果についてコンサルタントを行うシステムを採っています。30歳を超えたら、誰でも自分の責任で我に降りかかるエイジングの火の粉を自ら振り払う考えが必要です。