ME&YOU10月号より

食品はよく洗い加熱調理しましょう
細菌やウイルス…さまざまな原因で発症

特定・特別医療法人福島厚生会
福島第一病院
内科科長
佐藤 晶彦


知っているようでよく知らない病気−食中毒
食中毒ってなに? 食中毒とは食品・添加物・器具・包装容器・厚生労働大臣が規定するおもちゃによって起こる病気です。
食品ってなに? 食品とは全ての飲食物で薬事法の規定する医薬品医薬部外品を除いたものです。 つまり、食べ物の他包丁やまな板やお皿や子供が口に入れるおもちゃでさえ原因になりますが、同じ口に入るものでも薬の場合は食中毒とは言わないのです。意外でしょう。
食中毒の原因は何ですか? 細菌によるもの・ウイルスによるもの・科学物質によるもの・自然毒によるものなどがありますが、原因が不明の場合も多々あります。
食中毒はいつが多いの? ご想像の通り夏に多いです。細菌によるものが夏に多く発生しています。しかしノロウイルスが検出されるようになってからは、他の季節も増えてきました。
夏場に多い細菌性食中毒を3つほど挙げてみましょう
サルモネレラ属菌 感染型食中毒で代表的な菌で食中毒を引き起こすには千個から十億個の菌が必要と言われています。卵、肉などが主な感染源ですが、ペット(鶏、犬、猫、ミドリガメなど)が菌を持っていることがあるので問題となっています。食べてから8から48時間で急性胃腸炎として発病します。ほとんどが1週間ほどで回復しますが、高齢者や子供では死亡する場合があるので注意が必要です。まれに健康保菌者もいるので二次感染も起こります。抗生剤が使用されますが、多剤耐性菌が多くなっていますので、分離菌の薬剤感受性を知る必要があります。予防は卵や肉の加熱調理や、調理器具の汚染防止が重要です。
腸炎ビブリオ 海水中にいる細菌で、3%程度の食塩を含む培地で増殖する好塩菌で淡水では増えません。水温の上がった夏の海で増殖し、魚介類を汚染します。その汚染された魚介類を生食したり、二次汚染食品を食べることで、6から24時間で急性胃腸炎で発病します。一般に数日で回復します。予防は夏の魚介類は生で食べないことが原則です。生ものは低温保存し、たべるまで時間をおかないこと、加熱調理できるものは加熱し、食品や調理器具などの淡水による洗浄も大切です。
黄色ブドウ球菌 外毒素エンテロトキシンを産生する黄色ブドウ球菌により、食中毒が起こります。この毒素は耐熱性で100度に加熱しても有毒です。一旦黄色ブドウ球菌が繁殖して充分な毒素が出来ると、たべる前に加熱しても食中毒を防げません。食べてから30分から8時間で嘔吐がはじまります。発熱はほとんどありません。持続時間が短く、回復も早いですが、ショックをおこすことがあります。対症療法しか治療がありません。予防は手洗いをよくし、傷のある手で食品に触れないことと調理から食べるまで時間をおかないことが大切です。
細菌性食中毒の予防の三原則は付けない・増やさない・殺すことです。 食中毒の原因には自然毒と呼ばれるものがあります。発生する割合は少ないのですが死亡は意外と多く出ています。 植物性自然毒では毒キノコが有名です。国内に約40種の毒キノコがあると言われています。消化器症状と神経症状を示すものの大きく2つに分けられます。どちらも死者がよく出ます。 動物性自然毒ではテトロドトキシンと呼ばれるふぐ毒が有名です。海中の細菌が作った毒素をふぐが体内に濃縮したもので、熱と乾燥に強い神経毒です。発病したら、呼吸を管理して、解毒を待つしかありません。ふぐは専門の調理師さんが調理したものを食べてください。素人料理は危険です。 最後に食品の保存は良く洗い、冷蔵庫で低温保存し、加熱調理をすることです。どうしても保存する場合は乾燥保存にしましょう。 【プロフィル】 伊達郡飯野町出身。 福島県立医科大学大学院卒後、同大学細菌学講座入局。国立療養所 翠ヶ丘病院 (現いわき病院)を経て、平成19年4月より福島第一病院内科科長として勤務。