ME&YOU5月号より

熱中症を予防しよう

屋内・屋外ともに蒸し暑くなると
真夏でなくとも発症します

特定・特別医療法人福島厚生会
福島第一病院
内科部長 板橋 孝


熱中症については、皆さんもある程度知識をお持ちだと思います。今日はプラスアルファとして、注意点や対策をお話しします。

  注意その1:真夏でなくても熱中症は起こります!! 真夏の暑い時には、多くの方が注意すると思いますが、まだ本格的な暑さを迎える前でも、熱中症になることがあるので、注意が必要です。例えば、梅雨の合間の晴れ上がった時などです。湿気があり、ムシムシして気温が上がるといった時に起こりやすいのです。
  注意その2:屋外でなくても熱中症になります!! 以前は日射病と言ってたように、炎天下の屋外で最もなりやすいのですが、体育館や工場、一般の家の中でも、屋内の蒸し暑いところなら熱中症になることがあります。屋内だから大丈夫と安心しないで下さい。
  注意その3:水ばかり飲んでても熱中症になります!! エッ!ちゃんと水を飲んでいるのに?と思われるかも知れませんが、そうなのです。水や麦茶やウーロン茶だけでは、熱中症になってしまいます。これについては、この後でお話したいと思います。 さてこれから、熱中症の基本的なお話をします。熱中症は重症度と症状や病態の違いから、A、 熱けいれん、B、 熱疲労、C、 熱射病に分類します。

  A、 熱けいれん‥‥とは、スポーツや運動中に、急に発症する筋肉のけいれんです。足のふくらはぎや太ももや腹筋がつることがあります。水分は摂取しても、発汗によって塩分が不足し、筋肉のけいれんが起こってしまうのです。先程、注意その3で書きましたが、水や麦茶やウーロン茶を飲んでいるだけだと、少しの発汗なら問題ないのですが、多量に発汗すると汗の中に含まれているNa,K,Cl,Ca,Mg,等の電解質が失われることによって、筋肉のけいれんが起こってしまいます。水分と一緒に電解質も補わなければいけません。今はどこでもスポーツ飲料水を手に入れることができます。運動する時には、スポーツ飲料水を摂取するようにしましょう。どうしてもスポーツ飲料水が苦手な方は、水やお茶と一緒に塩分も補給すると良いでしょう。また、運動をすると、糖分も不足しがちになります。低血糖の予防に糖分も補給することをお勧めします。
  B、 熱疲労‥‥とは、熱けいれんよりも脱水と塩分喪失が重症で、頭痛、悪心、嘔吐、めまい、疲労感等の症状があります。こうなると、病院での治療が必要となり、点滴で脱水と電解質の補正をおこないます。
  C、 熱射病‥‥とは、熱中症の中で、最も重症で恐ろしい病態です。40℃以上の高体温、意識障害、けいれん発作などの症状と、場合によっては急性腎不全となり、死に至ることもあります。 さて、これからは熱中症の対策をお話しします。熱中症に対しては何よりも予防が大切です。

  対策その1、 前もって補給しておく!! スポーツや屋外、蒸し暑い所での作業や、その他汗をかきそうな時には、汗をかいてからではなく、予め飲んでおくことが大事です。そのためにも、充分な量を準備して、持参することを忘れないで下さい。また、子供さんには持たせてあげて下さい。
  対策その2、 休む勇気を!! カゼ気味、熱がある、下痢をしているなど、体調が悪い時には、勇気を持って休みましょう。体調不良の時には、簡単に脱水状態となり、熱中症になってしまいます。子供達のスポーツの指導をされている方もいらっしゃると思います。どうか、練習や試合の前には子供達の体調を確認し、体調の悪いときには、子供たちが自分から言えるように、日頃から指導して頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
  対策その3、 こまめに補給を!! 予め飲んでおくことにくわえ、その後もこまめに補給をすることが大事です。呼吸や皮膚からの水分喪失は思っている以上に多いのです。 毎年、熱中症による事故が新聞やテレビで報道されますが、熱中症の正しい知識を持っていただいて、楽しく運動して頂きたいと思います。私が子供の頃には、「水を飲むな」「水を飲むとバテる」「根性が足りないから欲しくなるのだ」等と誤った考えが横行していました。現代では、運動時にはスポーツ飲料水の補給は不可欠だと認識されています。私事で恐縮ですが、私は趣味のテニスをする時には、必ずスポーツ飲料水を前もって飲んでおきます。そして、暑い日には、スポーツ飲料水を冷やして持っていき、テニスの合間に、何度も飲むようにしています。仲間にもスポーツ飲料水を飲むように勧めています。当直明けで寝不足の時は、その旨を伝え、途中で交代してもらったり、休憩を取りながら続けるようにしています。また、暑い日には氷嚢を用意して、首筋をアイシングするのも火照った身体をクールダウンするのに良い方法です。
  
   最後に、高齢者の方は特に熱中症に注意が必要です。  高齢者の方は、元々体内の水分量が少なく、容易に脱水状態に陥りやすいのです。ちょっと庭の草むしりを…の、つもりが、つい頑張ってしまったり、また、屋外でなくても、蒸し暑い家の中では、普段よりも水分を多く摂るように注意しなければなりません。 皆さん、是非、充分な補給をしていただいて、熱中症を予防して頂きたいと思います。