ME&YOU11月号より

脳梗塞と高脂血症について

高脂血症は脳梗塞の大きな促進因子 軽視しないで受診しましょう

特定・特別医療法人福島厚生会
  福島第一病院  名誉院長
  厚生会クリニック所長

 浅野 桂太郎


日本人の死亡原因は、悪性腫瘍、心疾患が多く、次いで多いのが脳卒中です。脳卒中は発症しても死亡することなく、種々の治療を受けている方は非常に多いと考えられます。そうした方々の中には重い後遺症が残りその後の社会生活が困難となったり、家族の方にも大きな負担をかけることになります。寝たきりになって介護の必要となる種々の病気の中で、脳卒中は38.7%を占め第一位です。従ってこの事は高齢化社会を迎える本邦にとって大きな問題であり、なんとかその発症を予防したいものです。

脳梗塞とはどんな病気でしょう。
脳卒中は基本的には脳血管障害により起ると言えます。脳卒中は大きく分けて、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血に分類されます。この中で最も多いのは脳梗塞です。この稿では脳梗塞について述べてみます。この脳梗塞もその発症様式によって、最も多いラクナ梗塞、近年増加傾向にあるアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓に分けられます。ラクナ梗塞は脳の動脈に血の塊り(血栓)が出来て起る1.5cm以下の梗塞です。アテローム血栓性脳梗塞は頭蓋内及び外側の太い動脈に出来たアテローム硬化巣(限局的動脈硬化病変)により血管が狭くなり、そこに出来た血栓が脳に行って起る梗塞です。心原性脳塞栓は心臓の中の壁に出来た血栓が脳の血管に詰って起きます。心房細動や慢性の心不全などの疾患に伴って起ることが多いです。

脳梗塞の原因は?
脳梗塞の起る原因については近年沢山の研究があります。脳梗塞は前項にも述べたように、脳や脳に達する血管の血管障害即ち動脈硬化症によって起きます。人間は血管と共に老いると言われます。従って加齢によって動脈硬化症は進行しますが、更にその進行を早めるものとして、成人病又は生活習慣病、最近ではメタボリックシンドロームによるものであると話題になっております。こうした提唱はそれぞれ共通したもので、高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙などです。これらは老化や重い疾病の原因となる危険因子です。脳梗塞はこれらの危険因子が促進因子となって発症します。中でも高脂血症については、狭心症や心筋梗塞の発症のみならず、脳梗塞の発症の大きな原因になると言われます。

高脂血症について
血液中を流れる脂質には、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸があります。コレステロールは細胞膜や大切なホルモンの原料となりますが、過剰になると動脈硬化症の原因になります。中性脂肪は人間の活動のエネルギーの源となります。使わないと皮下脂肪や内臓脂肪となりひいては動脈硬化症の原因となります。高脂血症には、糖尿病、肝臓病、甲状腺疾患、腎臓病など原因となる病気によって起る続発性高脂血症、遺伝的な原因により起る家族性高脂血症、原因となる病気のない原発性高脂血症がありますが、その原因はアルコール多飲、食べ過ぎ、運動不足などです。

健康で過ごすために
市民検診や職場検診などで高脂血症を指摘される方が多いようです。脳梗塞の原因は高脂血症のみではありませんが、指摘された方は決して軽視することなく医療機関を訪ねて下さい。寝たきりにならないために、健康で働ける健康年齢を延ばすために。