ME&YOU9月号より

乳癌について

欧米に比べ極端に低い受診率 検診による早期発見が重要です!!

特定・特別医療法人福島厚生会 福島第一病院
副院長 土屋 敦雄


乳癌は最近増えているのでしょうか
乳癌は欧米における女性の癌罹患率のトップであり、食生活やライフスタイルの欧米化に伴い、日本でも増加しており、 1960年から1985年の25年間に倍増しています。乳癌に罹患した数は年間約35,000人と推計されています。欧米では約8人に1人は生涯のどこかで乳癌にかかるとされています。日本でも2015 年には約20人に1人が生涯のどこかで乳癌にかかると推計されています。

乳癌は食べ物と関係があるのでしょうか
日本に住む日本人、アメリカに住む日系人、アメリカの白人の乳癌についてみますと、アメリカに住む日系人は日本人に比べて乳癌が多く、白人よりは少ないのです。これは食生活などの環境因子が乳癌発生に非常に重要であると考えられます。この他に日本人の乳癌の特徴として、40歳代後半から50歳代にかけての乳癌が多く、閉経後の乳癌が欧米に比べ少ないことです。しかしこれも最近は欧米のパターンに近づきつつあります。これも食生活との関連をうかがわせます。

乳癌の予防の食品はあるのでしょうか。
最近の愛知がんセンターの研究では大豆製品の摂取により閉経前乳癌発症リスクが減少するとの報告があります。これは乳癌になった女性と健常女性の食品摂取に関するアンケートからの結果です。大豆製品を種類別に分析すると豆腐摂取量と乳癌の間には負の相関があり、豆腐を取ることが乳癌予防の潜在的有効性を示しました。ただ閉経後乳癌にはこのような差はみられませんでした。

乳癌になりやすい体質はあるのでしょうか。
特にそのような体質はありませんが、統計的にみて次の4項目が普通の人に比べ乳癌の高危険(ハイリスク)グループといわれます。すなわち、1)乳癌の既往歴のある人、2)母、姉、妹に乳癌がある場合、3)増殖性病変を有する乳腺症の既往歴のある人、4)30歳までに妊娠をしたことの無い人、などです。以上の方は3〜4倍乳癌になる率が高いとされています。

乳癌検診は重要なのでしょうか
平成16年の厚生労働省の指針により40歳以上の女性のすべてが乳癌検診と対象となりました。しかし日本における乳癌検診受診率は平成16年でわずかに11.3%しかありません。欧米では60〜70%の受診率ですのでいかに日本の女性が乳癌に無関心であるかを示しています。乳癌は診断時の病期(進行具合)によりほぼその治療成績が決まりますので、進行した状態ではいかに名医にかかってもだめです。乳癌検診による早期発見が重要です。

自己検診が大切だといわれますが、自分の乳房をさわってもよくわかりません。
ほとんどの方は乳癌にならないわけですので、よくわからないのは当然です。ですから日頃の自分の乳房を触って、平常の自分の乳房を知ることが大切なのです。定期的に自己検診すれば、約1cmの癌をみつけることはできると言われています。乳癌を小さいうちに発見することが、癌で命を失わないための一番大切な方法です。