ME&YOU7月号より

骨折のリハビリテーション

実は骨折する前の予防の段階か始まってます!!


 
特定・特別医療法人福島厚生会 福島第一病院
リハビリテーション技術科主任 阿部 宏憲

今回は寝たきりの大きな原因の一つである、骨折のリハビリテーションについて紹介したいと思います。特に高齢者は骨粗鬆症がある場合が多く、転倒や転落などの軽い衝撃でも骨折することがあります。大腿骨頚部骨折(太腿の骨の脚の付け根に近い部分の骨折)や脊椎圧迫骨折(背骨の骨折)は寝たきりの原因になりやすい骨折です。

大腿骨頚部骨折

骨折する部分の違いで内側型と外側型に分けられますが、いずれにしても寝たきりとなる期間を短くし、早期から歩行を行うため手術を行うことがほとんどです。リハビリにおいては手術前から始まり、安静による体力・筋力の低下(廃用症候群)を予防します。手術後は手術方法に合わせたクリニカルパス(何日目に何をするかといった治療などの実施内容をスケジュール表にしたもの)に沿ってリハビリが行われます。当院においては手術翌日よりリハビリが始まり、血流が停滞し血管が詰まるなどの手術により起こりやすい合併症を予防します。その後は状態に合わせ徐々に座る・立つ動作の練習を行い、手術法により多少前後はしますが、およそ一週間から二週間程度で歩く練習が始まります。その後は徐々に階段の昇り降りや、畳への立ち座り、屋外の歩行など、その人の生活状況に合わせた日常の動作の練習を行います。

脊椎圧迫骨折

最も高頻度にみられる骨折で、七十歳代の女性の三十〜四十%に発症するといわれています。脊椎骨折は他の部位の骨折と違い、脊椎がつぶれて変形が起こるため、変形によって腰が曲がったり背丈が縮んだりします。また、強い腰背部の痛みで体を動かせなくなります。治療として通常手術はせずに、安静やコルセットで疼痛の軽減を図ります。そのためベッドでの長期の安静を余儀なくされ、全身の廃用症候群や認知症の原因となりえます。予防のためにはリハビリテーションによる早期からの運動が必要です。骨折初期の痛みの強い時期でも手足は動かせるため、横になったまま手足の運動を中心に行います。そして痛みが落ち着いてきたら徐々に起き上がり、歩行へと進めていきます。また、再発予防も重要であり、背筋や腹筋の筋力強化も積極的に行います。

骨折予防のために

骨粗鬆症
高齢者における骨折には骨粗鬆症が大きく関係します。予防のためには若いときになるべく骨量を蓄える一次予防と、中年期以降の骨量減少を遅らせる二次予防が大切となります。一次予防では若いときにスポーツなどの運動習慣をもつことが骨量を増やすことに繋がります。(水泳など体重がかからない運動は効果が少ないとされています)  二次予防としては、まず日常の生活を活動的に送ることが大切です。筋力の強化も大切ですが、無理な運動はかえって関節や筋肉を傷めることもありますので、翌日に痛みや疲労感がでない程度で行うことが大切です。

転倒予防
転倒の原因としては絨毯に足を引っかけたり、手すりが付いていないといった外的要因と、歩行障害や筋力の低下、バランスの低下といった内的要因に分けられます。転倒予防のためには段差の解消や手すりの設置といった環境整備と、筋力やバランスの強化、杖の使用など身体機能の向上を図ります。 終わりに  骨折のリハビリテーションは骨折する前の予防の段階から始まっています。そのための適度な運動は骨粗鬆症や転倒予防だけでなく、肥満や糖尿病といった生活習慣病の予防など多くの効果が期待できます。