ME&YOU6月号より

脳卒中のリハビリテーション

身体機能や生活能力の回復のために 発祥早期から段階的に訓練


 
特定・特別医療法人福島厚生会 福島第一病院
リハビリテーション技術科科長 五百川 和明

寝たきりとなる原因疾患の上位に脳卒中・老衰・骨折が挙げられますが、リハビリテーションとのかかわりが多い脳卒中と骨折で、実に約半数を占めるといわれています。そこで、この2つの疾患に対するリハビリについて、今回と次回でその基本的な内容を紹介いたします。今回は脳卒中のリハビリについてです。

脳卒中による障害とは

脳卒中の症状としては、意識障害、手足や胴体の運動麻痺及び感覚障害(多くは片側に生じます)、記憶や思考、言葉の障害などが起こりますが、脳の損傷部位によって症状は異なります。その結果、歩くことや食事・排泄等の日常生活における動作、仕事や余暇活動等、それまで当たり前に行っていたことができなくなります。

脳卒中リハビリの流れ

脳卒中のリハビリは病気が発症した直後の病状が不安定な時期から始まります。発症早期のリハビリは主に病院で行われ、病状が安定したら病院内の回復期リハビリ病棟や老人保健施設等で、自宅退院に向けた集中的なリハビリが行われます。また、退院後も必要に応じて自宅での訪問リハビリや、デイケアセンターでの通所リハビリが行われます。

時期別のリハビリ

(1)早期リハビリ(発症から1ヶ月)
発症早期のリハビリは、病状を管理しながら、身体の各関節の運動や、座る・立つといった基本動作の訓練を行い、安静状態によって麻痺側の関節が硬くなる、全身の体力や筋力が大きく低下するような二次的な障害(廃用症候群といいます)を予防します。また、食事や排泄等の日常生活活動の訓練も早期から積極的に行い、生活における基本的な能力を身につけることを目指します。

(2)回復期リハビリ(発症後1ヶ月から6〜8ヶ月)
発症から約1ヶ月で脳の状態は落ち着いてきます。機能回復は発症後1〜3ヶ月までが大きく、およそ6ヶ月までは徐々に回復していくといわれています。この間、できるだけ早く良い状態で家庭や社会に復帰できるよう、身体の機能や生活能力の回復を図るべく、より集中的なリハビリを行っていきます。着替えや入浴等の生活訓練、屋内・外での歩行や車椅子での移動訓練、自宅への外泊訓練等を行います。また、患者様ご本人と共にリハビリスタッフが自宅に訪問し、退院にむけての家屋状況や福祉用具の整備、指導も行ないます。

(3)維持期リハビリ(発症後6〜8ヶ月以降)
この時期は、各々の能力を活かして、趣味や余暇活動、就労などの地域社会活動への参加を目指します。ご本人の嗜好に合った趣味活動、バスや電車等の交通機関の利用、スーパーマーケットやデパートでの買い物、職場復帰に向けた職業前訓練等を行っていきます。

おわりに

今回は脳卒中のリハビリの基本的な内容を紹介いたしましたが、当然のことながらその障害は千差万別であり、それぞれの状態に合わせたリハビリが行われることになります。あくまでもリハビリの主体者は患者様本人であり、リハビリのプログラムだけが一人歩きするものではありません。脳卒中の患者様が住み慣れた地域で主体的に生活できるよう、今後、より効果的なリハビリ訓練・用具の開発や、地域・行政面での支援と体制整備などが重要な課題であります。