ME&YOU2月号より

下肢の痛みについて (とくに血管障害によるもの)

放置すると危険 原因を明らかにし 適切な治療を受けましょう

特定・特別医療法人福島厚生会 福島第一病院
 心臓血管病センター
 循環器科部長、透析室部長(兼)
小川 智弘

何が原因なのか?

下肢の痛みは神経、筋骨、皮膚が原因となるものと、動静脈リンパが原因となるものに分類されます。神経、筋肉および骨、関節による下肢の痛みは多いもの、血管疾患が原因でおこる痛みも少なくなく、原因が異なれば、治療する診療科も異なります。

下肢痛を伴う血管疾患とは?

血管疾患には大きく動脈疾患と静脈疾患に分類されます。動脈の血流が悪くなると、初期段階では運動時に痛みを自覚し、安静にすると痛みが消失するとか、また足先が冷えたり、皮膚色が白っぽくなったりしますが、ひどくなると安静時にも痛みを感じたり、さらには足先に潰瘍を認めたりもします。このように慢性的に上記の症状が認められる場合はその多くは動脈硬化からくる閉塞性動脈硬化症です。一方で急に下肢に痛みが生じ、足が白くなっている場合は血液や動脈硬化性物質の塊による急性下肢動脈閉塞の可能性が高く、放置しておくと、下肢の切断や生命に危険がおよぶことになります。 静脈の血流が悪くなる場合は、蛇行した静脈が浮き出てきたり、下肢の腫脹や長時間立っていた後に足が重く感じたり、かゆみや夜中に足がつるといった症状が認められます。このような場合は下肢静脈瘤であることが多く、ときには血液のうっ滞にて静脈血管内に血液の固まりできて、静脈蛇行部が赤くはれ上がることもあります。また下肢が急に腫れて、痛みが生じる場合には、深部静脈血栓症が考えられ、放置しておくと、慢性的に下肢の腫れ、痛みが生じるだけでなく、血液の塊が肺血管を閉塞し、生命に危険がおよぶこともあります。

簡単に見分ける方法は?

腰から下肢の後ろ側が痛いときや、関節の周りのみが痛いとき、また痛みが足を動かした直後に現れ、運動とともに軽快するのであれば、そのほとんどが神経、整形外科的疾患でありますが、下腿や下肢内側前面が痛い場合やある程度の下肢の運動後に痛みを生じるのであれば血管疾患が疑われます。また外傷であればそのきっかけが容易に判断できますが、血管疾患でははっきりしないことが多いのも特徴です。 外見からは、足のやせ、足が青白くなっていれば動脈疾患が疑われ、腫脹を伴う足の色素沈着、静脈の蛇行が認められれば、静脈疾患が疑われます。 また足背動脈(足背の中央に位置する)を触れてみて、脈が感じられるかどうか確認してみることも有用です。

整形外科的疾患と血管疾患は合併することがあるのか?

下肢静脈瘤は30歳以上の6割に認められるため、神経、整形外科的疾患と合併することも少なくありません。また動脈疾患でも整形外科的疾患との合併も認められ、その場合は両疾患の治療が必要になってきます。

外来での診察および治療は?

血管疾患の大まかな診断については、通常診察に加え、検査機器の発達とともに痛くなく、短時間に血管エコーや血液の流れが判る脈波法にて診断ができます。 治療法では、疾患にもよりますが、最近ではできるだけ患者さんに優しい傷をつけないカテーテル治療なども行われるようになってきております。専門の施設で詳しい治療については相談してください。 最後に: 下肢の痛みは日常生活の質を下げるだけでなく、放置しておいたりすると、血管疾患が原因である場合は、命に危険性を及ぼすこともあり、適切な医療機関を受診し、必要があれば治療されることをお勧めいたします。