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ME&YOU1月号より

口腔(こうくう)がんについて

口の中で発生し生活に大きな障害 定期健診を受けましょう。

特定・特別医療法人福島厚生会 福島第一病院 歯科副部長
阿部 守明

口腔がんとは?

日本人の全死亡者のおよそ3人に1人が癌でなくなる現代、癌は身近な病気といえるかもしれません。ガンというと胃ガン、大腸ガン、肺ガンなどをイメージされるかと思いますが、口の中にもガンができるのをご存知でしょうか。舌ガンなど口の中に発生するガンを口腔ガンとよびます。口腔ガンのガン全体に占める割合は2〜3%で、発生率は10万人に1人と多くはありませんが、命に関わる重大な病気であることにはかわりありません。発見が遅れ進行した口腔ガンでは、手術で舌や顎の骨を含む広い範囲を切り取らなければならないことがあります。たとえ最悪の事態は免れたとしても、手術後、顔の形が変わったり、見える部分に傷跡が残ることがあります。このため口腔ガンでは、全身のガンに比較し、精神的苦痛がより強く残りやすいといわれます。さらに、飲食、会話、呼吸に大事な口に障害が残るため、生活の質の低下が避けられない事が少なくありません。口腔ガンによる術後の口腔機能の低下を最小限に食い止めるためには早期発見・治療が重要です。

高齢者の問題とは?口腔がんのリスクファクター(危険因子)とは?

口腔ガンを引き起こす可能性のあるリスクファクターとしては、タバコやアルコールの摂取、口の中の清掃状態が不良であること、壊れた入れ歯や冠、合わない入れ歯、歯の鋭縁などで常に粘膜を傷つけるような刺激、ウイルスの関与が指摘されています。

前がん病変とは?

口の中には、粘膜が白く板状に見える白板症、赤く見える紅板症と呼ばれる癌化頻度の高い病変の発生がみられます。これらは前癌病変と呼ばれます。前癌病変が存在する場合は、ガン化を見逃さないために、定期的・継続的に注意深い経過観察が必要になります。

口腔がんの症状、早期発見の理想と現実

口腔ガンの症状、早期発見の理想と現実 口腔ガンの自覚症状では、酸味・甘味・塩味の刺激痛が最も多く、潰瘍、糜爛形成、しこりや、出血、腫れ、歯肉ガンでは歯の動揺、歯痛などがあります。進行するとしこりの範囲が広がり粘膜部の膨隆、違和感や、しびれ、舌では運動障害があらわれるようになります。 一方口腔ガンの発生初期段階の特徴としては、痛みなどの強い自覚症状に乏しく、口内炎や咬み傷、歯周病(辺縁性歯周炎)に似ることがあるとされます。理想を言えば、このような自覚症状が現れる以前の段階で、口の中の異常に気がついてかかりつけ医を受診し、しかるべき判断のもとで口腔外科に照会されるべきと考えます。 しかし現実的には、ガンの発生初期では、あまり痛むことが無いため、粘膜の色や形のわずかな変化に自分で気がつくことは少なく、たとえ気がついても、口内炎や傷と思い込み『そのうち治るだろう』と見過ごしてしまうことも少なく無いのではないでしょうか。

口腔がんは早期発見が大切です。

口腔ガンの多くは、歯科医によって発見されます。早期発見のために、かかりつけ医で、定期検診をうけましょう。同時に口の中を確認する習慣をつけ、自分で『ちょっと変』と思うときは放置せず、受診しましょう。