ME&YOU9月号より

アロマセラピー

医療現場でも研究され始めている芳香療法

特定・特別医療法人福島厚生会 福島第一病院 薬剤部長
半澤 滝雄

アロマセラピーが最近注目されています。ご家庭や美容サロンで行われているだけでなく、医療業界でも医療行為のひとつとして研究され始めています。今回はアロマセラピーとは何かを皆様にご紹介いたします。
アロマセラピーはフランス人化学者 ルネ・モーリス・ガットフォセが実験中に負った火傷が、ラベンダーの精油によって化膿することなく治ったことに始まります。その後ラベンダーをはじめとする精油の研究が行われました。そして1939年に「Aromatherapy」という書籍が世に送り出され、現在のアロマセラピーの起源となりました。
ギリシア語でアロマ(Aroma)は芳香・香りを意味し、セラピー(therapy)は治療を意味しています。すなわち、アロマセラピーは芳香療法(香り物質を利用した治療法)ということです。私たちの精神的ストレスや肉体的不調を癒してくれます。また医療の現場でも治療手段としても利用され始め、フランス、ドイツ、ベルギーなどではアロマセラピーは医療行為のひとつとして定着しています。精油は医薬品と同様に扱われ、品質についても細かな規定があります。

精油(エッセンシャルオイル)とは
植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材です。有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質です。 各植物によって特有の香りと機能を持っています。 日本では、精油については特に品質基準もなく雑貨として輸入され、残留農薬が検出される精油や合成保存料が添加された精油、化学合成された精油など、粗悪品が数多く出回っているのが現状です。数年前まで「良いものだから良いんだ」「植物の不思議なパワー」といったような曖昧な紹介が行なわれ、ファッション性が重要視されていました。また、本によって書いてある事が違うことも多く、混乱の要因になっていました。
このことから、1998年に医師などの医療従事者によって「日本アロマセラピー学会」が設立されアロマセラピーの学術的な研究が行なわれ始めました。既に臨床家や研究者によって数々のアロマセラピーに関する医学的効果が実証され、一部の医療機関では既にアロマセラピーが応用されています。また、家庭での正しいアロマセラピー(アロマケア)の普及について学術的研究を行なう「日本アロマケア学会」も設立されました。

香りの吸収と効果
香りを感じるという事は、空気中に漂う香りの成分が呼吸と共に鼻に入ってきた事を意味しています。その香りの成分は鼻の上の方の嗅粘膜に溶け込み、香りの成分を情報として嗅細胞がキャッチします。その香りの情報は電気信号となり、嗅神経・嗅球・嗅索を通り、大脳(大脳皮質や大脳辺縁系)に伝えられ、意識として香りを感じます。好きな香りや嫌な香りなどの感覚の違いによって、快・不快などの感情が生まれます。また、香りの成分は呼吸によって肺にまで到達して肺静脈などからも吸収されています。血中に入った香り成分は感情に関係なく成分の作用を体に与えています。
アロマセラピーで使われる精油の香り成分も、鼻から香りの情報が大脳まで届けられ、呼吸によって肺静脈などからも吸収されています。
また、使われる精油には、普通の香りにはない良い薬理作用があります。肺静脈などから吸収された香り成分は、血流にのってさまざまな臓器や組織に働きかけています。精油を用いたアロママッサージも香り成分が体表からも吸収され、マッサージとの相乗効果により精神的にも肉体的にも良い効果をもたらします。この香り成分の良い薬理作用はアロマセラピーの精油に特有のものとなります。
今後機会がありましたら、アロマセラピーの活用方法等をご紹介したいと思います。