ME&YOU診察室のコーナー4月号より

クリニカルパス

病名イコール診療報酬が決定。質の高い医療提供の有効な手段

特定・特別医療法人福島厚生会  福島第一病院
 心臓血管病センター 佐藤 晃一


 近年、医療界にはいろいろな問題が散見されます。そんななかどんな病院を選んだらいいのか?病気になってからでは遅い。じゃあどうしたらいいでしょうか?自分や家族のこれからが心配、不安で押しつぶされそうな時、この病院でどんな医師に何をされるのか知りたい。そんな不安を解消するツールがあります。それがクリニカルパスです。

クリニカルパスって何ですか?
 もともとアメリカで発案されたパス法と呼ばれるものが原型で、ロケットや船を作る際にその工程をマニュアル化し無駄を省き短時間で質の高い製品を完成させるのに役立ちました。医療界ではアメリカで"まるめ"と呼ばれる診療報酬体制が施行された頃導入されました。"まるめ"とは、例えば心筋梗塞で入院となると今まではAさん、Bさん、Cさんでは医療費が異なりました。ところが"まるめ"ではどの患者さんにかかる医療費も同じというシステムです。国の予算から考えると病名イコール診療報酬が決定することで余計な予算を削減できます。病院はどうでしょうか?言い方は悪いですが今までのように患者さんを長期に入院させたり不要な検査、治療を続けることが出来なくなりました。病名で予算が決まってしまうからです。患者さんには予算削減であまりいい治療がしてもらえないのでは?などといった不安がつのります。しかし、患者さんも同じ治療費、同じ病気なら早く治療がすみ、治療成績のよい病院を選ぶようになります。するとどうでしょう、病院はいかに短期間で質の高い医療を提供できるかを競い合うようになります、そのためにパス法を導入する病院が増えたのです。

具体的には?
クリニカルパスには医療提供者が使用するものと、患者さんが使用するものがあります。医療提供者が使用するものは、例えば心筋梗塞で入院した患者さんをその重症度でどのような治療を選択、最短コースの入院期間を決めるマニュアルです。無駄が排除され余分な入院が減ります。一方患者さんのパスですが、手術前いつまで食事ができるのか、お風呂は?手術後いつから歩けるのか、退院は?など様々なことが説明されています。医療者側のパスは航海マニュアル。患者さんのパスは旅行の行程表、と例えることもできます。

何が変わるの?
医療者は治療成績の向上、入院期間短縮を研究実践するようになります。患者さんはどうでしょう、入院後の生活に不安はつきません。しかしパスがあれば、明日はどんな検査が何時からあって、食事はできて、あっお風呂は入れないのかとか、聞かなくともパスを見ればわかります。先の見えない不安から解消されるのです。

日本におけるクリニカルパスの現状は?
近年クリニカルパス専門の学会もできパスを導入する病院も増えています。病院のホームページや実際に利用した患者さんからパスを入手し、最も自分にあった治療が行われる病院を選択することができるようにようやくなりかけています。もちろん専門家の判断も大切です。かかりつけ医、ホームドクターに相談され適切な治療を選択することが大事です。その上でクリニカルパスを利用されてみてはいかがでしょうか。