ME&YOU診察室のコーナー7月号より

健康食品との上手な付き合い方

〜ダイエットする場合は特に必須機能成分の不足を補いましょう〜

特定・特別医療法人 福島厚生会 福島第一病院
消化器科部長 柳沼 信久

 

 現代は飽食の時代、運動不足の時代であり、その結果肥満人口の増加が顕著で先進国では20年前に比べて軒並み5〜9kgの平均体重増加がみとめられます。肥満は糖尿病、高脂血症、高血圧などをもたらし急速に動脈硬化をおこす最上流の原因とされており、肥満解消が現代の焦眉の急であることは明らかです。 日本人は3kg太ると糖尿病になるといわれており、逆に肥満を解消するだけで糖尿病その他の病態がほとんど改善することも認識されつつあることです。  
  カロリー摂取量は40年間変化が無いのに肥満が増えたのはひとつには運動不足が考えられます。40年前平均一日一万五千歩歩いていたのが現在五千歩とすれば、そのカロリー消費量の減少は350キロカロリーであり、40年前の糖尿病が現在の15分の一以下だった時代に戻すにはカロリー摂取を平均350キロカロリー減らす必要があります。

肥大した脂肪細胞は危険

 成人後は脂肪組織内の脂肪細胞数はほぼ一定なので体が肥満した場合には一個一個の脂肪細胞も肥大してきます。太る前に小型だった脂肪細胞が大きくなる訳です。
 最近解明された重要なことは小型脂肪細胞が出すアディポネクチンという成分が血糖値を下げたり動脈硬化を防止したりする中心的な役割を担う生理活性物質であるということであり、いわば医療費ゼロの長寿ホルモンを生体が産生していることになります。ところが脂肪細胞が肥大するとアディポネクチンは激減して反対の作用をする物質を産生するようになり、生体にとって危険な状態になります。このように脂肪細胞には二面性があるので体重は出来るだけ理想値(BMIで22)に近づける必要があります。

カロリー制限で生じる様々の不足

 一例ですが飽食の時代にもかかわらず日本人の必須微量ミネラル摂取量は必要量の70%程度にとどまっており(平成13年度の調査では20〜50才でカルシウムは必要量の76%、鉄は68%、銅は70%、マグネシウムは86%亜鉛は79%にすぎない)、カロリ―制限を350kcal行うとするともっと摂取量が減るはずで、少なくとも必須微量ミネラルだけでも何らかの補充が必要でサプリメントなどを上手に利用して補給することを考えなくてはならなくなります。
 理想体重に近づけるためにダイエットする場合にはさらにカロリー制限する事もありますので(蛋白は制限しない事が基本です)、その場合には様々のビタミン類も不足することは明らかで現代の生活には必須機能成分の不足分を補う強い必然性があることは明らかでしょう。

基本を守ろう

 食品や植物、魚油などの様々な活性物質が健康食品として注目されブームとなっている現在ですが、まず第一に考えるべき事は理想体重に近づけるときに不足する分をきちんと補給する事です。
 漢方薬的な効果を考えて好みに応じて健康食品とお付き合いする事は自由にやっていいことですが情報に惑わされないことが大事なことです。2〜3年前に大問題になった中国製のやせ薬は甲状腺ホルモンが入っていたり米国で使用禁止になった痩せ薬を修飾した同類の物質が入っていたりしたことが分かっています。氾濫するインターネット情報に惑わされることなく最初は不足分を補うことから始める事が大事でしょう。大手の信頼できる健康食品会社の製品を選ぶような事も選択肢に入れていいでしょう。