ME&YOU診察室のコーナー3月号より

下肢閉塞性動脈硬化症に対するステント治療

バイパス手術に比べて短時間の手術で入院も短期間

特別医療法人福島厚生会
  福島第一病院 心臓血管病センター 佐藤 晃一


はじめに

 "血管内治療"という言葉を耳にしたことがある方いらっしゃるのではないでしょうか、でもいったいどんな治療なのでしょう?血管内治療とはカテーテルと呼ばれる2〜3ミリの細長い管を使い血管内の種々の病気を治療する方法です。代表的なものは、急性心筋梗塞の患者さんの心臓をカテーテルで治療するPTCA法(経皮的冠動脈形成術)などが有名です。現在の医療は低侵襲化が進み今までには考えられないほどこの血管内治療が盛んに行われています。そして下肢閉塞性動脈硬化症に対するステント治療もこの血管内治療のひとつです。

下肢閉塞性動脈硬化症とは?

 時々耳にする病名だと思いますが、具体的には下肢の動脈が脂肪や血栓などでどんどん狭くなり最終的には閉塞してしまう病気です。生活習慣病であり喫煙、糖尿病、高血圧症、高脂血症、肥満、運動不足、ストレスなどで長期にわたり血管が障害を受け続けると徐々に進行する病気です。初期症状は下肢の冷感を自覚されます、夏なのに足が冷たい、お風呂に入っても足先は氷のように冷たいなどの症状からはじまります。それから徐々に続けて歩行することができなくなります、はじめは1キロ程度歩くと臀部やふくらはぎが痛くなり少し休むとまた歩行できるなどの症状がどんどん短くなり最終的にはトイレに歩くのが精一杯などとなる方もいらっしゃいます。次の段階は夜寝ていても足が痛く我慢できない、歩くことなど全くできないという状態になります。この時期をすぎても放置しておくと足が徐々に薄紫色になり皮膚に潰瘍を形成し異臭を放つようになるかたもいらっしゃいます。

ステント治療とは?

 この下肢閉塞性動脈硬化症に対する治療は、初期の下肢冷汗、軽度の歩行障害では内服治療あるいは運動療法などがおこなわれます。また重症の歩行障害になると血管内治療あるいは人工血管などを用いたバイパス手術が行われます。さらに潰瘍を形成するような場合一部下肢の切断を余儀なくされることもあります。このなかにあって血管内治療の進歩はめざましくかなりの患者さんを治療することができるようになりました。血管内治療の初期は前述しましたカテーテル尖端の風船で血管内腔を広げる程度のものでした、それがレーザー光線を利用したり、特殊なカッターで削り取る治療が行われた時期もありました。現在はステントと呼ばれる金属の筒をこの血管が狭くなった場所に留置する治療が盛んに行われています。このステントは今までの種々のカテーテルのなかでも比較的細いもので留置することができ非常に簡便になってきました。

その成績は?

 ステント治療の成績は非常に良好です。日本で使用されるようになりもうすでに10年近くなりますが血管の場所にもよりますが長期開存率が90%を超え、従来から行われてきたバイパス手術にも勝るとも劣らない治療法となっています。またバイパス手術に比べ入院期間が短く手術も局所麻酔で非常に短時間で現在ではこの疾患のおよそ半数はこの治療法が行われています。

まとめ

 下肢閉塞性動脈硬化症に対するステント治療は非侵襲的に短期間の入院で行え治療効果も絶大です。しかし全ての病変を治療できるわけではありません、お心あたりのある方は専門医を受診され適切な治療をお受けください。