ME&YOU診察室のコーナー2月号より

肥満と肥満症(その2) 

小さな目標から始めて食事療法や運動を実行しよう

特別医療法人福島厚生会 理事長
社会福祉法人慈仁会 理事長
福島第一病院 星野 俊一

 

肥満と肥満症はどう違うの?ライフスタイルが肥満に影響しているの?

 戦後、日本人のライフスタイルはがらっと変わってきました。摂取カロリーはそんなに増えてはいないが、脂肪の多い高脂肪食が増えてきました。そして自動車のめざましい普及や生活様式が便利になり過ぎて、身体を動かす機会が少なくなって、運動不足になってきていることなどが挙げられます。更に生活環境がきびしさを増して、精神的ストレスが増していることなども加わり、結果として肥満が増加しているものと思われます。

肥満と睡眠時無呼吸症候群との関連は?

 肥満を放っておくと、本人の生活の質(QOL)は一段と損なわれるばかりでなく、最近話題になっている睡眠時無呼吸症候群の症状が現れる人も居ます。現にこの症候群を呈する患者さんの60〜70%は肥満症だといわれています。「いびきが途中で中断する」や「夜に熟睡ができない」といった徴候は睡眠時無呼吸症候群ではよくみられます。社会活動だけでなく、家庭での生活も障害されます。肥満をコントロールすることによって、これらの徴候は改善します。

日本人は外国人と較べて肥満体質はちがうの?

 肥満の指標であるBMI(前号参照)が30以上の肥満者は、アメリカやヨーロッパとくらべ、幸にも日本人は非常に少ないです。しかし日本人の体質の特徴として、肥満が軽度なのに糖尿病や高脂血症や高血圧に罹患している人が多いことに注意しなければなりません。過食が肥満を誘導して肥満症 になるのは事実です。肥満症の 人は普通と比べると食べ方がち がいます。目の前にある食べ物 を全部食べ尽さないと気がすま ないといった様子がみられます。 そこまで行かない肥満傾向の人 では、普通はカロリー制限とい うことは意識しているのですが、 外食や旅行などで気が緩み過剰 になることはよくあることです。

肥満には2種類のタイプ

 体の脂肪のつき方によって、体形的に西洋梨型とリンゴ型とがあります。西洋梨型は外国人によくみられる骨盤や足に皮下脂肪が貯まるタイプです。リンゴ型はお腹がでっ張る体形で、日本人に多くみられ内臓に脂肪が貯まるタイプです。肥満では肝臓にも脂肪が貯まる脂肪肝が問題となります。肝臓の働きが障害されるので注意しなければなりません。

内臓脂肪蓄積型の健康リスクは?

 このリンゴタイプの内臓脂肪蓄積型では糖尿病、高脂血症や高血圧を合併することが多くみられます。動脈硬化がすすむために心筋梗塞や狭心症の頻度が高いというデーターも発表されています。

内臓脂肪蓄積はどうしたら計れるの?

 正確には病院で腹部CT検査をして測定します。CTの基準値としては内蔵脂肪面積は100cm2とされています。しかしこれでは手数がかかり過ぎます。もっと実用的な、いつでも測れる方法としては、巻き尺でウエストの周囲径を自分で測ることで充分参考になります。日本人のウエスト周囲径の基準としては、男性では84.4cm、女性では92.5cm(50歳以上では90.0cm)が日本肥満学会より提唱されています。

内臓脂肪のコントロールは?

 定期的に巻き尺を使ってウエスト周囲径を測り、メモしておくことをおすすめします。男性では85cm、女性では90cmを目標としましょう。健康的な生活を送るために、これ以上ウエストが太っている人は内臓脂肪が多くついていると思われるので、ぜひウエスト周囲径を減らすことに努めましょう。また体重にも同じように気をつけましょう。

肥満に対応したライフスタイルは?

 肥満者は一般に「早食い」、「まとめ食い」、「偏食」などがみられる事が多いです。規則正しく食事時間を決めて食事をとることが基本です。寝る前のまとめ食いはいけません。またよく味わって、一口ごとに20回位噛むことによって、脳に食べたという満足の信号を送り出すので効果的です。  また有酸素運動(散歩、ジョギング、水泳など)は有効です。日常生活に運動をとり入れることを意識して、1日1万歩以上位の運動量を目標とすることも効果的です。しかし運動による消費エネルギーはそれほど大きいものではないので、運動にだけ精を出してもあまり効果はあがりません。必ず食事療法も並行に実行することを忘れないで下さい。

まとめ

 体重を減らす対策としての食事療法は決して楽ではありません。しかし効果の不確かな「やせ薬」などに頼るのはあまり賢明な策ではありません。食事の制限や運動の継続可能な、小さな目標から始じめ、自分の体重やウエスト周囲径の日記などをつくり、できるだけ達成感を味わいながら、自分自身を鼓舞することが肝腎です。