ME&YOU診察室のコーナー1月号より

肥満と肥満症(その1) 

区別して考え生活習慣病の予防をしましょう

特別医療法人福島厚生会 理事長
社会福祉法人慈仁会 理事長
福島第一病院 星野 俊一

 

肥満と肥満症はどう違うの?

「肥満」とは太っている体格を表わす言葉で、脂肪が過剰に蓄積した状態です。一方「肥満症」とは何らかの健康障害を伴う状況で病気として対応すべき状態をいいます。肥満は決して病気でなく区別 すべきものです。

どうして肥満になるの?

肥満になるということは脂肪組織の中の脂肪細胞が増えることではなく、脂肪細胞がどんどんエネルギーを溜めて大きくなって、脂肪組織の重量 が増していくことです。

肥満の程度はどのように測るの?


肥満の程度は身長(メートル) と体重(キログラム)とから、 身長/体重2で計算される指数 (BMI)で表します。BMI =22が理想値です。平成12 年の国民栄養調査ではBMIが 25以上の過体重は男性では 26.8%、女性では21.3%でした。 過去10年間のBMIの推移を みると、男性では年齢を問わず 増加傾向がみられますが、女性 では若い年齢層で減少傾向がみ られ、女性のダイエット志向が 伺えます。

肥満の原因は?

過食が肥満を誘導して肥満症 になるのは事実です。肥満症の 人は普通と比べると食べ方がち がいます。目の前にある食べ物 を全部食べ尽さないと気がすま ないといった様子がみられます。 そこまで行かない肥満傾向の人 では、普通はカロリー制限とい うことは意識しているのですが、 外食や旅行などで気が緩み過剰 になることはよくあることです。

肥満になるとどんなことが問題になるの?

脂肪組織の重量が増え肥満に なると、糖尿病やコレステロー ルなどの身体の代謝や動脈硬化 に影響をおよぼします。

脂肪組織ってどんな働きをするの?

脂肪細胞は身体のなかで3つの働きをします。第1はエネルギーの貯蔵庫の働きです。糖分、脂肪、リポ蛋白などを取り込みますが、余り取り込み過ぎると働きが落ちて糖尿病や高脂血症(血液のコレステロールの増加)などにつながります。第2には脂肪細胞はエネルギーの貯蔵庫からエネルギーを供給する役割もはたします。これは脂肪分解とよばれますが、カロリー摂取が少なくなったときに肝臓や筋肉に行ってエネルギーを供給します。逆にカロリー摂取が多すぎると逆の現象で血糖値を上昇させる弊害をともないます。また第3には脂肪組織はさまざまな善玉 のホルモンを分泌して糖代謝、脂質代謝を良くする働きをも持っています。脂肪細胞は決して悪玉 とばかりは考えないで下さい。

肥満の程度と体調との関連は?  

肥満は程度(量)と体調(質) が一致しない特長をもっていま す。BMIが高いと重症になる かといえば、そうともいえませ ん。例えば体重が200kg以上あ っても、何の健康障害もなく激 しいスポーツをやっている人も おり、肥満の程度が増えている からといって体調まで変化する わけではありません。

肥満と生活習慣病との関連は?

日本人ではBMIが25〜30 の肥満者が非常に多く、肥満の 程度は軽症なのですが、実際に は糖尿病、高血圧、高脂血症の 頻度は明らかに増加しています。 これは日本人の体質的な特徴と して明白な事実です。これらは 最終的には動脈硬化につながっ ていくので注意しなければなり ません。従って肥満症だけが増 加しているという認識だけでは 不十分で、肥満症に関連した生 活習慣病を予防することが大切 です。(以下次号に続く)