ME&YOU診察室のコーナー9月号より

人工関節について(下)  

〜手術できる年齢に制限・・・過度に使いすぎると問題も〜

特別医療法人福島厚生会  福島第一病院
副院長 整形外科部長・リウマチ科 千葉 勝実

 前回人工関節の良い点について記載しましたが、今回は欠点について述べます。

関節が痛いのに手術が受けられない

 疾患にもよりますが関節の痛みが強くても手術が受けられない場合があります。1つは年齢です。手術可能な年齢はおおよそ65歳以上です。年齢設定は人工関節の耐久年数と関連しています。若い方に施行しますと再手術の可能性が高くなります。しかし、最近人工関節が良くなり耐用年数も上がり60歳以上なら手術を行う場合があります。手術が受けられないもう1つの理由は症状です。日本整形外科学会では安易に人工関節に走らないように症状の評価基準を設け基準点数より低い方に手術をするように指導しています。人工関節が必ずしも安全な手術で無いからです。

手術は安全ですか

 ほぼ安全ですが問題もあります。麻酔をかけて手術をする必要があります。全身麻酔、または脊椎麻酔が必要です。最近では麻酔は安全で、簡単で、疼痛は少なくなってはおりますが、統計上1万分の1の危険があることは事実であります。また手術をする行為が必要です。手術中に予測していない事態が生じ医療行為を追加する場合があります。たとえば多量の出血、手術時間延長、骨脆弱による骨折など。そのほかに術後は感染(ばい菌が入る)、深部静脈血栓症(脚の血管に血液の塊ができる)、肺梗塞(肺の血管に血液や脂肪の塊がつまる)などがあります。さらに輸血による問題などがあります。最近では抗生剤の投与法の改善、深部静脈血栓症に対しての予防法、肺梗塞の診断治療が進歩しより安全になりました。

手術後は何が心配ですか

 手術まではうまくいったのにリハビリ中に問題が起こることがあります。1つは脱臼です。人工関節のデザインの問題、術中・術後の注意不足などから生じます。また人工関節の早期の緩み、破損などがあります。過度に使いすぎると摩耗が生じる場合があり、摩耗粉による障害も報告されています。

注意することは

 したがって人工関節を長持ちさせるためには体重増加、重労働は控えてください。必要以上に関節を曲げたり伸ばしたりしないでください。感染性疾患(虫歯、痔、上気道炎、膀胱炎など)に注意が必要です。次のような症状は主治医にお話ください。痛みが強くなった。人工関節の脱臼・緩み、感染が疑われます。脚がはれてきた。感染、深部静脈血栓症が疑われます。患部が赤くなってきた。感染が心配です。胸が痛い、苦しい。肺梗塞が心配です。

生活上してはいけないことは

 普通の生活ではあまり問題になりません。家族・友人との旅行、趣味など人生を楽しんでください。ただし人工物です過度な動作をさけ大事に使いましょう。できれば杖を使用したいものです。 今回は主に欠点について話しましたが95%以上の方は満足されています。人工関節を理解し関節痛で困っている方は主治医にご相談ください。