ME&YOU診察室のコーナー8月号より

人工関節について(上)  

〜整形外科手術で最も進歩。痛みがとれて生活の質が一変〜

特別医療法人福島厚生会  福島第一病院
副院長 整形外科部長・リウマチ科 千葉 勝実

 この半世紀、整形外科手術でもっとも進歩した術式の1つに人工関節があります。人工関節が患者様にもたらした恩恵は計り知れないものがあります。しかし、全員がうまくいくわけではありません。 今回は人工関節の長所と欠点について述べてみたいと思います。

関節の機能

 関節の機能の1つは骨と骨を支えることです。それにより体重を支えたり、手を自由に使用したりできます。もう1つは動きがあることです。移動したり、振り向いたり、ものを採ったりできます。しかし重要なことは安定して、痛くないことです。

関節が痛い

 関節が痛くなる原因は様々です。主に関節の軟骨が減ったり、骨が破壊したりして痛くなります。 関節に炎症がある場合も痛くなります。

どの関節に手術ができますか

 すべての関節にできるわけではありません。よく実施されて安定した成績を上げているのは股関節(脚の付け根)と膝関節です。そのほか肩、肘、足、手指などがありますがまだ前の2つに比べ成績はいまひとつです。

様々なデザインと材料

 人工関節は様々な金属の合金、ポリエチレン、セラミックなどで作られています。2つの骨の患部を形成し人工関節を固定します。大きさや機種はたくさんあり、患者様に適したものを選択し使用しています。固定方法は特殊な骨セメントを用いる方法と金属の加工のみで固定する方法があります。固定性は両者に優劣はないようです。

耐久性は

 大切に使用すれば約20年間使用可能といわれています。現に20年を経過した方も居られます。緩んでも再度手術することも可能です。術後は痛みがとれ関節の動きも良くなり95%以上の方が満足されています。生活の質は一変し行動範囲は広くなります。

手術は痛くないですか

麻酔技術・麻酔剤・鎮痛剤など の進歩により疼痛は無いか、少なく手術ができます。輸血は股関節・膝関節で必要とする場合があります。しかし多くの例は輸血を必要としません。必要と思われる方は手術前に自分の血液を採って置き使用します。他人の血液を使う場合でもかなり安全になっています。

リハビリはつらいですか?

 下肢関節の場合、術後第1日から上半身を起こせます。訓練が始まりますが疼痛の無いように配慮して行います。 術後2日目は痛くないように機械で関節を動かす訓練を行います。次第にベッドの端に座ったり車椅子、トイレ動作に移り、2週間で歩行はかなりできるようになります。3週間で歩行も安定し、経過の早い方はそろそろ退院となります。遅い方でも6週間で退院となります。

退院後の生活

 痛みはほぼ無くなり、患部を下にして横になれます。筋力はアップし長距離歩行時疲れにくくなります。半年過ぎると杖も要らなくなります。車の運転も可能です。 軽労働、夫婦生活可能です。 以上、人工関節の長所について述べました。次回は欠点について述べたいと思います。