ME&YOU診察室のコーナー6月号より

足の静脈瘤に対する最新治療法について 

〜高性能カテーテルを用いて大きな効果〜

特別医療法人福島厚生会  福島第一病院
心臓血管病センター  循環器科部長、 透析室部長(兼)
小川 智弘

下肢静脈瘤について

 下肢静脈瘤は外見上、立つと足の血管が浮き出てくることで、比較的容易に診断できますが、それを放置しておくと足が痛くなったり、だるくなったり、足に湿疹ができたり、皮膚の色が黒くなったり、さらには皮膚潰瘍ができることもあることをご存知でしょうか。

足の静脈瘤を放置しておくと命にかかわることもあるの?

 今までは足の静脈瘤を放置しても死ぬことはないから大丈夫だといわれてきたかもしれません。しかし、最近では静脈瘤が肺の血管に血液の塊が詰まる病気(肺塞栓症:重症例では命を奪うことも少なくない)の一つの原因となることが注目されてきました。たとえば、飛行機の搭乗中に突然死するような人(このような病気をエコノミークラス症候群と言われている)には足に静脈瘤を認めることがあります。
  これは静脈瘤により足の血液がうっ滞することで血液の塊ができやすくなり、その血液の塊が肺に流れていくためです。さらに整形外科では人工関節の手術前に肺塞栓症の原因となるので、前もって足の静脈瘤の治療を勧める先生方もいらっしゃいます。

一般的な静脈瘤の治療法について

 静脈瘤の治療法としては医療用のきついストッキングを着用する方法、注射にて静脈瘤をつぶす方法および手術があります。静脈瘤がある程度ひどくなると手術以外での方法では治療が不完全となることがあります。手術では静脈瘤の原因となる血管を縛る方法と完全に静脈瘤をとる方法(静脈抜去術)がありますが、完全に静脈瘤を治療する点からは静脈抜去術が優れております。しかし、少なからず手術後に痛みを生じたり、入院期間が長くなることより患者さんの立場からは静脈瘤を治したいのだけれども、手術に対する恐怖感や仕事に復帰するまでに時間がかかることを危惧される方も少なくありません。

傷もなく、痛くもなく、短期間に確実に静脈瘤を治す方法はあるの?

 あります。最新の静脈瘤の治療が開発されました。これは静脈瘤血管内に熱を放出する特殊なカテーテルを挿入し、カテーテルから放出される熱にて静脈瘤を中から閉じてしまうといった方法です。この方法であれば、細い針を通して、カテーテルを静脈瘤内にいれることができるため、傷らしい傷はありません。最近、欧米では年々その治療法が普及しております。日本では当院をはじめとして、この治療を積極的にとりいれようといった動きがあります。

最新の静脈瘤治療の成績は

 新しい治療法では、少なくとも1-2日入院ですみ、術後の痛みはほとんどありません。術後の静脈瘤の再発はほとんどみられません。合併症についてはカテーテルからでる熱のための軽度の熱傷が報告されておりますが、当院では最新の高性能カテーテルの使用と十分な予防対策を行いその予防に努めています。

最後に

 足の静脈瘤に対する最新のカテーテル治療は術後の痛みが少なく、早期に社会復帰ができます。しかしながら、この治療に関してはどこの病院でもできるというわけではありません。詳しいことについてお知りになりたい方は、第一病院心臓血管病センター外来に連絡いただくか、または当院のホームページにアクセスしてください。