ME&YOU診察室のコーナー4月号より

あなたの動脈硬化度は?

〜簡単にできる動脈硬化度の検査〜

特別医療法人福島厚生会 福島第一病院

 臨床検査科 山岸義則

はじめに

人間の体には頭の先から足の先まで隈なく動脈が走っています。その動脈に硬化が起こると足の動脈がつまったり、脳出血をおこしたり、狭心症、心筋梗塞といった様々な病気の原因となります。最近では動脈硬化度の早期発見のために簡便な痛くない検査で動脈の硬化度が測定できるようになりました。

どのような機器を使用するのですか?

フォルムPWV/ABIという機器を用います。この機器は脈の伝播する速度から血管の硬さを測定し、また自動血圧計によって手足の動脈が詰まっていないかどうかを自動的に検査できる「スグレ」ものです。

どのように検査をするのでしょうか?

血圧を測定するのと同じ感覚で気楽に検査を受ける事が出来ます。ベッドに仰向けに寝ていただいて、両腕及び両足首に血圧測定のカフを巻いて両手首に心電図用の電極、胸に心音センサーを付けて測定を行います。

検査を受ける時に注意する事は?

走るなどの運動後は血圧が変動するので避けた方がよいでしょう。もしそのような場合はしばし安静をとってから検査を行います。また寒い季節ですと厚着になるのでジャンパーや厚手のセーターなどは脱いで検査を受けて頂くことになります。胃カメラや腹部エコーと違い食事による影響はありませんので食事後でも検査できます。

検査時に痛みはないのですか?

ご安心下さい。血圧を測定する感覚ですから痛みは伴いません。現在主流となっている無侵襲検査法の一つです。

検査時間はどのくらいですか?

検査の部屋に入って測定し部屋を出るまで約5分間で終了します。実際に測定に要する時間は2分間程度です。

検査でどのような事が分かるのですか?

 1.動脈硬化度がわかります。

動脈硬化度を検査するために脈の伝わる速度を測定します。この速度とは心臓から大動脈に駆出される血液が動脈の中を流れる時に発生する波動が、血管壁を伝わる速さを言います。この伝播速度は年齢によって値が変わってきます。1秒間の平均伝播速度は40代で約1200センチ、60代で約1300センチ、80代になると1700センチと速くなります。年齢が上がるにつれ伝播速度の数値も上昇します。この数値を自分の年代の平均とくらべ大きければ大きい程、つまり伝播速度が速ければ速い程動脈硬化が強いという結果になります。

 2.手足の血管の詰まりがわかります。

ABPIを測定します。これは足の血圧と腕の血圧(左右高い方)の比で表します。通常健常人は足の血圧の方が腕の血圧より高値を示します。健常人のABPI値は1.0以上であり、測定の変動性を加えても0.9以上とされています。動脈硬化が起こり足の血圧が腕の最高血圧を下回りABPI値が0.9以下を示すと足の動脈に詰まりがあることで、動脈の狭窄もしくは閉塞を強く疑うことになります。

検査で異常を指摘されたら?

なるべく早く血管専門医の受診をお勧めします。そして詳しく調べるために一段階上の無侵襲検査である血管超音波検査で、血管壁の性状や血流解析等の検査をお勧めします。熟練した専門技師が行えば検査時間は約30分程度で、更に詳しい動脈に関する情報を得ることができます。

動脈硬化がわかったら?

動脈硬化は生活習慣病の一番のリスクファクターです。糖尿病、高脂血症および高コレステロール血症、高血圧症、肥満、喫煙などがあれば動脈硬化は促進されます。従って動脈硬化症の予防は、まずコレステロールの多い食品を避け、栄養のとり過ぎに注意することです。また適度な運動を行い、睡眠時間を充分とるなど規則的な日常生活が大切です。

まとめ

「人は血管と共に老いる」と言われています。老いても健康である為には、ご自身の血管の健康情報を知っておく事が第一歩です。そして健康寿命を有効に利用しましょう。