ME&YOU診察室のコーナー2月号より

腎臓病の栄養の取り方

腎臓の働きを食事でやさしく応援しましょう!!

特別医療法人福島厚生会 福島第一病院 栄養管理科 主任 菅野 史絵

腎臓の働きは?

腎臓は体の左右に2つあり、血液を濾過して、不要となった老廃物を、尿として毎日1〜2リットルも排泄します。そして、体を常に活動的な状態に保つ働きをしています。 腎臓の病気には、腎炎様症候群、ネフローゼ症候群等がありますが、腎臓の働きが著しく悪くなった状態を、腎不全と呼びます。

食事療法のポイントは?

一般に腎臓の働きが、低下するのをくい止めるには、タンパク質・塩分・カリウムの摂取量を制限しなければなりません。しかし、エネルギーが不足しないように、十分に配慮したメニューにする事が大切です。

タンパク質のおかずは、毎食1品にしましょう。

タンパク質が体内で利用されて出来る老廃物は、腎臓の働きが悪いと体外へ排出されにくくなります。従って、タンパク質食品(肉・魚・卵・大豆製品・乳製品等)の摂取量を制限しなければなりません。主食である御飯や麺にも、タンパク質は含まれていますので、全部のおかずにタンパク質を使用せず、主菜(メインのおかず)だけとしましょう。

塩分を控えましょう!

塩分も腎臓から排泄されるため、摂り過ぎは腎臓の働きを低下させます。また、必要以上に水分が細胞にたまると、浮腫(むくみ)の原因となりますので、塩分は1日3〜5g以下にしましょう。

朝食の献立で考えると?

御飯には塩分はありませんが、例えば副食として、味噌汁1杯(1.5g)・沢庵3切れ(1.3g)・アジの干物(2.8g)・ほうれん草のお浸し小鉢1杯(1.5g)を摂ったとすると、塩分は合計7.1gとなります。これでは一寸多めです。御参考にして下さい。

改善策のポイントは?

塩分を少なくするために、少し工夫してみましょう。例えば、味噌汁は市販のだしの素を使わない、沢庵を生姜・にんにく等香味野菜を加えた浅漬けにする、干物を生にする、お浸しの醤油を減塩醤油や辛子・ワサビ等香辛料を使うことで塩分は、半量に減らすことができます。香辛料・香味野菜を上手に利用して薄味を心掛けましょう。

カリウムってなんだろう?

カリウムは私達の筋肉や神経にとって重要なものです。野菜・果物・肉・魚・卵・大豆製品に含まれています。しかし、尿量が少なくなったり、ある病的状態では、余分なカリウムが尿中に排泄されないので、不整脈や呼吸困難などの症状を引き起こすこともあります。

カリウムを減らす必要のあるときには?

水に溶ける性質があるため、野菜・芋類は茹でこぼしたり、流水にさらすのが良いでしょう。 茹でこぼし方法は、小さく切って、大量の水で茹で、沸騰後茹で汁を捨てます。これで、80〜90%のカリウムを減らすことが出来ます。 他には、皮をむく、種をとる、汁を絞るなどの方法があります。 カリウムが多い野菜・果物は? 芋類・南瓜・トマト・ほうれん草・白菜に多く含まれています。果物は、バナナ・キウイフルーツ・メロン・ドライフルーツなどに多く含まれており、リンゴ・パイナップル・みかん・缶詰は少なめです。

エネルギーをきちんと摂りましょう!

タンパク質を含まない砂糖類・でんぷん・ジュース・油脂類を使いましょう。糖質や脂質などで、エネルギーを十分摂っていると、タンパク質はエネルギーとして利用されません。従って、腎臓の機能を低下させる老廃物が出にくくなるのです。

エネルギーを上げるには?

油を使って、炒め物・焼き物・天ぷら・フライの調理法にする。サラダにはマヨネーズ・ドレッシング、パンにはマーガリン・バター・はちみつ・ジャムをつける。コーヒー・紅茶には砂糖・生クリームを入れるなどの方法があります。

まとめ

 毎日、病態や病状にあわせて献立をたてたり、調理法を変えるというのは、大変な手間と気配りがいります。そしてそれは、長らく親しんできた「自分の食事」「おふくろの味」「大好物」を犠牲にすることになってしまいます。この様な食事は長続きしません。「好きなものだけを食べる」というくらいの、気持ちの上での余裕が大切です。おいしく、かつ楽しく食べて栄養をとりましょう。