ME&YOU診察室のコーナー10月号より

高血圧の薬あれこれ

特徴や使われ方を知って上手に付き合いましょう。

特別医療法人福島厚生会福島第一病院 薬剤科 北村 奈央子

 高血圧はよく耳にする病気のひとつですね。高血圧は生活習慣病の原因ともなるので、長期にわたり治療の必要な病気のひとつです。降圧薬と上手に付き合っていくために治療薬の特徴や使われ方について説明しましょう。

高血圧の薬にはどんな種類がありますか?

 高圧薬には作用の異なるさまざまなタイプがあり、患者さんの年齢や、病態などに応じて処方されます。これには交感神経に作用する薬、血圧を調節する仕組みに作用する薬、血管に作用する薬、体内の水分量を調節する薬剤などがあります。

交換神経に作用する薬とは?

 これにはα2作動薬、α遮断薬、β遮断薬並びにαβ遮断薬があります。α2作動薬は交感神経の働きを抑えます (カタプレス、ワイテンスなど)。α遮断薬は血管の収縮を抑え、血圧の上昇を防ぐ役割を担っており、排尿障害の方にも用いられる薬剤です (ミニプレス、デタントール、カルデナリンなど)。また、β遮断薬は心臓に作用します(メインテート、テノーミン、アーチストなど)。αβ遮断薬は前述した両方の作用を併せ持つのでβ遮断薬よりも強い効果が期待できる薬剤です(アルマール、トランデートなど) 。

血圧を調節する仕組みに作用する薬とは?

 体の中で血圧を調節する仕組みの中で大きな役割を果たすアンジオテンシンUと言う物質があります。これは血管を収縮させたり、腎臓での水分調節に大きく関わっています。体内でこの物質を作らないようにするACE阻害薬と、出来てしまったこの物質を働かないようにするアンジオテンシンU拮抗薬があります。ACE阻害薬は若い方、糖尿病、心肥大や心不全がある方、動脈硬化の進んだ状態の方に使用することが多い薬剤で(タナトリル、レニベース、コバシルなど)、アンジオテンシンU拮抗薬も前者とほぼ同様の作用を示し3年程前から使われるようになりました (ブロプレス、ニューロタン、ディオバンなど)。

血管に作用する薬とは?

 血管の収縮の際に必要なカルシウムを細胞に取り込まないようにし、血管を拡げ血圧を下げる薬剤でカルシウム拮抗薬と言います。降圧作用が強く、現在最も多く使用されている薬剤はジヒドロピリジン系(アムロジン、アダラート、ペルジピン、コニールなど)で、1日1回服用タイプの薬剤が主流です。最近グレープフルーツジュースとの関係が巷を賑わせていますが、皮に含まれる成分が薬効を強めるので、皮も絞って作るジュースとの服用は避けて下さい。この他のカルシウム拮抗薬にはジルチアゼム系(ヘルベッサー)やベラパミル系(ワソラン)があります。

カルシウム拮抗薬はカルシウムの吸収に影響がありますか?

  カルシウムは骨粗鬆症防止のためにも大事な栄養素です。「カルシウム拮抗薬」と言っても、カルシウムの吸収を阻害するわけではありません。この薬はカルシウムが血管の細胞の外から中へ移動するのを抑えるだけで、体全体のカルシウム量に影響はありませんので骨粗鬆症にも影響がありません。

体内の水分量に作用する薬とは?

  尿として水分排泄を促進し、循環血液量を減らして血圧を下げる薬剤のことです。利尿剤にはサイアザイド系 (フルイトラン、バイカロンなど)、ループ利尿剤(ラシックス、ダイアート、ルプラックなど)、カリウム保持性 (アルダクトンA、ソルダクトンなど)の3種があります。主にサイアザイド系は年配の方に、ループ利尿剤は腎臓の悪い方、カリウム保持性は他の2剤との併用で用いられることの多い薬剤です。

高血圧の薬にはどんな副作用があるの?

 いずれの薬剤でも副作用として、血圧が下がることによって感じるめまい、ふらつき、動悸などが稀に現れることがあります。薬の種類によっては脈が遅くなったり、顔がほてったり、空咳が出たり、耳鳴りがしたり、稀にですが歯茎の腫れを訴える場合もあります。β遮断薬は喘息の患者さん、インスリン注射を行っている糖尿病患者さんには用いられません。

まとめ

  高血圧は生活習慣病のうちで、最も頻度が高く、ポピュラーな病気の一つです。寝ても覚めても1日10万回以上心臓が鼓動する毎に血管が感じるストレスは大変なものです。高血圧のままで放置することは大変危険なことです。ですから高血圧をうまくコントロールして楽しい生活を送りましょう。