福島民友新聞「ME&YOU」6月号診察室のコーナーより

 

治療薬・検査が進歩し

症状軽減が大幅に実現

 

特別医療法人福島厚生会
福島第一病院 副院長 
整形外科部長 千葉 勝実

 

 

 20年前、私がまだ駆け出しの医師であった頃、リウマチは原因不明の治らない寝たきりになる病気と思われていましたし事実そうでした。現に病院に通っても治らないから諦めたと言って無治療の方が居られましたし、多くの寝たきり患者さんが居られました。しかしここに来てリウマチは怖い病気でなくなってまいりました。今回は最近のリウマチ診療について述べたいと思います。

原因解明までもう少し

 残念ながら根本原因は不明のままです。しかし少しづつ病因は解明されてきています。 リウマチは地域差が無いこと、家族発生が有ることなどから遺伝的な素因が注目され、遺伝子解析が進むにつれリウマチの病因が分かりつつあります。一般診療に於いても確かに、或る遺伝子型を持つ方は治療に難渋し、病状も重いことが判ってきました。原因解明までもう一歩と思われます。

有用な検査が次々開発

 まだリウマチを診断する検査はありません。しかし、早期リウマチの診断を助ける検査、関節破壊の指標となる検査、薬剤性間質性肺炎を診断する検査、他の膠原病と区別する検査などが一般臨床で使用できるようになりました。診断や治療効果判定、副作用の早期発見に利用され、きめ細かな診療に役立っています。

痛い検査・治療が激減

 治療薬・検査の進歩により関節内に注射をしたり、増殖した滑膜を切除する手術が激減しました。それは治療薬剤、とりわけステロイド剤、免疫抑制剤の進歩に寄与すること大です。 ステロイドホルモン剤:容量5分の1のステロイドホルモン剤が市販され微量調節が可能となりました。ステロイドホルモンは以前、安易に使用されたため副作用が問題になり、リウマチへの適応が疑問視されていました。しかし使用方法を間違えなければ患者さんの日常生活の質を向上させたり、疼痛の改善には有効な薬剤です。 免疫抑制剤:抗リウマチ剤が金療法のみの時代は症状の無くなる方は10%程度でした。しかし最近では30%弱になっています。症状が無くならないまでも軽減する方は80−90%に達します。現在、リウマチに使用可能で有効な免疫抑制剤はメトトレキサート、サラゾスルファピリジンなどです。まだ使用経験のない方は一度試されて良い薬剤です。 MRI(磁気共鳴画像診断):本検査により関節にカメラを挿入して診断する関節鏡検査が減少しました。痛みが無く関節内部の状況が良くわかります。関節鏡が関節表面のみを知り得るのとは異なり骨内部も鮮明に描写します。

早く見つけて早く治療

治療方法の変化:最近、日本リウマチ学会で早期リウマチ診断基準を出しました。早くリウマチと診断し、直ちに抗リウマチ薬を使用し、関節破壊を最小限に食い止めるのが目的です。また早期に抗リウマチ薬を多剤使用する方法がとられるようになりました。効果が現れてきたら薬剤数、薬剤量を減らします。以前は単剤投与でしたので効果のある薬剤に出会うまで時間が掛かり関節破壊が進行してしまいました。早期診断、早期治療により関節破壊は確実に減少してきました。

リウマチが治る

   関節リウマチなど炎症の時に多量に出現し病態をさらに悪化する物質にサイトカインがあります。その中で注目されているのが腫瘍壊死因子と呼ばれるサイトカインです。私たちが調べた結果でも炎症の強い患者さんは血中にたくさん出ております。その物質を阻害する薬剤が開発されつつあり、重症の患者様にもうすぐ使用可能になると思われます。非常に効果が有るようです。その他にも新しい薬剤が開発されています、リウマチが治る日がもうじきやって来そうです。