ME&YOU 4月号 診察室のコーナーより

 

〜あなたの脈は大丈夫ですか?〜

  

心臓血管病センター
佐藤晃一

 

脈が遅くなる(徐脈)ときはどんな症状になるの?

正常の成人の脈拍は一分間に60〜80回程度です。脈拍は心臓の拍動回数を表しており、両手首のところで触れることができます。脈拍が遅くなって一分間に30〜40回程度になることを徐脈といいますが、徐脈になればその程度により特有の症状を呈してきます。

 その症状は、めまい、ふらつき、動悸、息切れ、眼前暗黒感などで、高度の徐脈により一時的に脳の血流が少なくなるために失神してしまうこともあります。また徐脈のため血圧が上昇するので胸部の圧迫感などもおこります。まれには全く自覚症状がなく検診で心電図異常(徐脈)のため要精検といわれ医療機関を受診されるケースもあります。

 

 

そんなときはどうすればよいのか?

まず徐脈の程度と原因を調べるために心電図や胸部レントゲン写真をとって検査します。一般的には脈拍が一分間に50回以下では何らかの治療が必要ですし、40回以下ではペースメーカーによる治療が必要となります。

 

 

ペースメーカーってどんな器械?

ペースメーカーの構造は、本体(4×5センチ、厚さ1センチ程度のバッテリー兼コンピュータ)と、本体に接続し心臓内部へ留置するリード(線)から構成されます。ペースメーカー本体から電気刺激が発せられリードに伝わり心臓に到達し心臓を刺激し心拍が得られる仕組みです。

 

 

ペースメーカーの手術とは?

一般的にペースメーカー植え込み手術は局所麻酔で患者さんは意識があり我々と会話をしながら受けられる手術で所要時間は30分〜1時間程度です。植え込み法は胸部の鎖骨下に約5センチの切開を加え、周囲にある静脈からリードを挿入、心臓まで到達させます。続いて切開部周囲の皮下にペースメーカー本体を挿入しリードと固定します。その後皮膚を縫い合わせ手術終了です。

 

 

ペースメーカー手術のあとは?

手術後は2、3日ペースメーカーが安定するまで安静が必要です。食事は術後すぐに取れますし1週間程度で抜糸退院、退院後は通常の生活にもどれます。 ペースメーカー手術後では脈拍はどうなるの? ペースメーカーの脈拍数の設定を1分間60回とすれば自分自身の脈が1分間に60回以下となった場合、1分間に60回となるよう不足分を補います。また逆に自分自身の脈が1分間に60回以上の場合は作動せずバッテリーは節約されます。

 

 

ペースメーカー手術後の生活は?

ペースメーカー植え込み後は定期的な外来通院(月1〜2回程度)で日常生活は特に制限はありません。但し強力な磁場が発生するような環境は、ペースメーカーがコンピュータであるため設定が狂うおそれがあり避ける必要があります。

 

 

ペースメーカーは携帯電話で具合が悪くなるの?

よく問題となるのが携帯電話の電波による障害です。30〜50センチの近距離で携帯電話を使用すると障害を受けたという報告もあります。しかし現在は携帯電話程度の電波は遮るシャツやベストなどが市販されておりペースメーカー手術を受けた患者さんも満員電車に気兼ねなく乗ることができます。

 

 

ペースメーカーはどの位 長持ちするの?

ペースメーカーにはバッテリーが内臓されており現段階では定期的に交換手術を受けなくてはなりません。バッテリーの消耗具合にもよりますが一般的に6年〜10年毎に交換手術を受けていただきます。その手術は15分程度で術後は初回の植え込み時とは違い直後より歩行など自由です。そのためほとんど身体的負担がありません。ペースメーカーも年々進歩改良が進み耐久年数が延びどんどんサイズも小さくなっています。

 

 

まとめ

ペースメーカーは心臓が原因で引き起こされるさまざまに症状の改善に非常に有用な器械です。手術も安全に行なえ、メンテナンスもどんどん楽になっています。しかしなにより患者さん自身が自分の心臓に対する不安がなくなることが最も大きな恩恵に間違いありません。もし今現在、前述したような症状があり悩んでおられる方は専門医にご相談されてはいかがでしょうか。