福島民友新聞社「ME&YOU」平成14年3月号「診察室」掲載

〜生活習慣病の予防対策として〜

痛い検査はゴメン・・・
万人の願いかなえ正確に診断

 

 心臓血管病センター
循環器科部長 小川 智弘

 

血管ラボとは?

 最近、生活習慣病をいかに予防するかを問題として取り上げられる機会が多いようです。

 心筋梗塞、脳卒中、糖尿病の合併症、高血圧などの生活習慣病は、突き詰めると血管の病気と言うことができます。血管病をきっちり診断することは生活習慣病の予防にも、治療にもつながります。血管ラボとは血管病を痛くなく正確かつ効率的に診断できる検査室のことです。血管ラボは1940年代にアメリカで始まり、診断機器の進歩とともにアメリカではすでに確立されています。本邦では近年、ようやく血管ラボの必要性が認識されつつあります。


どのような血管病の診断に役立つか?

心臓、肺血管病については心臓部門として独立しているため、血管ラボは主に手足の血管病か頚部・腹部の血管病の診断に利用されます。


どのような人が対象になるのか?

 1)動脈硬化の進み具合を知りたい人。人間ドックの一環として行われることもあります。動脈の血流伝播速度、動脈の石灰化および狭窄、拡張などにより判断します。

 2)手足が冷たい、歩くとだんだん足が痛くなる人。このような症状のある方は四肢動脈の狭窄および閉塞の有無および部位診断が必要とされます。

 3)足が急に腫れて痛い人。このような症状のある方は太い深部静脈の閉塞の有無および部位を検査する必要があります。

 4)足がだるい、ほてる、痒い、血管が浮き出ている人。このような症状のある方は静脈瘤の程度およびその原因や部位の検査が必要です。

 5)脳梗塞の既往やめまい・ふらつきなどの症状があり、その原因として、脳への血液の経路である頚 動脈の狭窄、閉塞が疑われる場合。


どのような病院の設備が必要とされるか?

福島第一病院では上下肢の血圧および血流伝播速度の測定装置、下肢全体の血流状態を測定する脈波装置、個々の血管の状態が評価できる血管エコー、運動時の血流状態を判断する近赤外線装置および四肢の温度を評価するサーモグラフィーを備えております。これらにより、ほぼ全身の血管病の程度および部位の診断ができます。その他一般設備としてレントゲン,CT,MRIは不可欠です。


どのような流れで検査するのか?

まず診察により疑われる疾患を判断します。

そして、

 @下肢動脈閉塞性疾患の場合、上下肢の血圧および血流伝播速度の測定施行した後、血管エコーにて個々の動脈の狭窄および閉塞を診断します。さらにサーモグラフィーや近赤外線装置が疾患に応じて使用されます。

 A下肢静脈瘤の場合は脈波装置にて下肢全体の静脈血流障害を診断した後、個々の静脈を血管エコーにて検査します。ここまで約40分程度で検査が終了します。この2つの検査にてどこの静脈がどのぐらい悪いかを確実に判断できるため、疾患の程度およびどの治療が有効であるかを患者さんに迅速にお知らせすることが出来ます。


どこでも血管ラボはできるのか?

 血管ラボはいくら設備だけをそろえても、有効に機能しませんし、患者さんに対するメリットも多くありません。優れた血管ラボにするためには、専門医の無侵襲検査に対する知識、技術に加えて、それを支える血管専門技師の育成が必要であります。アメリカでは血管ラボと血管専門技師の厳しい認定基準があり、日本の一部でもこれに追従する動きがあります。当院でも血管専門技師の養成プログラムに協力体制を組んでいます。


血管ラボは医療コストの軽減に役立つのか?

かなりの血管病の診断は無侵襲検査のみで行えるため、苦痛を伴う侵襲的検査を必要としない分、医療コストの軽減に役立ちます。さらに血管無侵襲診断が効率化されるため、病院コストの軽減にもつながります。


まとめ

生活習慣病予防対策として検査を受けたいが、痛かったり、苦しかったりするのはゴメンだというのは万人の感じです。血管ラボでは全く苦痛なく、熟練した医師か、専門技師によれば1時間足らずで検査が行えます。


HOMEへ