福島民友新聞 ME&YOU 10月号診察室

 

 〜血管内治療〜

 

 

福島第一病院心臓血管病センター

佐藤晃一

 

血管内治療とは?

 

最近ちらほら新聞やテレビなどで目や耳にする言葉ですが、一言で表現するなら血管病を血管の中から治療する方法です。私たちの体の中には血管と名のつくものは数限りなく存在しそれぞれ重要臓器を栄養しています。そのため血管が障害を受けるとその血管が酸素や栄養を補給している臓器が障害を受けるのです。水道管が破裂するとその水道管が配管されている地区の住人が混乱するのとおなじです。血管内治療はこの障害を受けた血管をカテーテルと呼ばれる細い管を用いて血管の内側より補修する治療法です。

 

カテーテルとは?

 

カテーテルとは直径2〜3ミリ、長さが1〜1.5メートルの細い医療用の管のことです。注射のように、麻酔した皮膚から血管内に挿入し病変部位まで進め、先端に装備してある種々の仕掛で血管内より治療する道具です。カテーテルで治療する血管の病気には動脈硬化でどんどん血管にコレステロールがたまり血管が狭くなったり(狭窄)、血管がつまる(閉塞)ものがあります。狭窄した血管には、カテーテル先端に風船(バルーン)がついたものを用いこの風船で狭窄病変を広げ血流を改善する方法、先端にカッターが装着されたもの(アテレクトミー)を用い血管内に付着したコレステロールなどの"ごみ"を削り取る方法、ステントという金属の筒が装着されたものを用い狭窄病変にこのステントを留置し金属の力で狭窄病変を広げる方法などがあります。最近ではこれらの技術を応用し、血管がどんどん膨れていき破裂する大動脈瘤に対し人工血管が装着してあるカテーテルで大動脈瘤の内側に人工血管を留置する治療も普及してきました。

 

血管内治療で治せる疾患は?

 

ほぼ全身の血管疾患が対象となります。閉塞性動脈硬化症で足の血管が閉塞したり、狭窄した血管に対して応用が可能です。狭心症や心筋梗塞では手術する替わりに、狭窄した心臓の冠動脈の内腔を広げたり(PTCA)、ステントを留置して血流の流れを良くすることもできます。また胸部や腹部の大動脈瘤の治療は従来は手術のみでしたが切らずに済む画期的な治療として注目をあびています。

 

血管内治療で変わること?

 

今までは薬物による内科的治療と手術による外科的治療の2つの治療法しかありませんでした。最近登場した血管内治療はその中間に位置するものです。病気を切らないで、痛くなく癒す方法です。例えば閉塞性動脈硬化症に対する手術もおおがかりで、皮膚切開も大きく2ヶ所から多いときには4ヶ所も必要で、術後のリハビリも大変でした。しかし、血管内治療では大腿部の動脈を局所麻酔で注射針を利用しカテーテルを挿入、手術時間も短時間で行えるようになりました、病変によっては、皮膚切開を加えることもありますがせいぜい3センチ程度です。この血管内治療は手術後4〜5日程度で退院も可能で、すぐ社会復帰できます。また外科治療と組み合わせて侵襲を少なくすることもできます。狭心症や心筋梗塞に対するバイパス手術の替わりに、血管内治療(バルーンやステント)が日常的に行なわれている現状です。また現在はごく限られた病院でしかできませんが大動脈瘤に対する血管内治療はいずれ治療の主力になるものと考えられます。

まとめ 近年、食生活や生活習慣の変化に伴い生活習慣病が増加しています。血管病も動脈硬化症を中心に急激に増加しています。高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などはその予備軍となるため十分注意が必要です。しかし、早期発見早期治療(血管内治療)することで早期に社会復帰が可能となります。