ME&YOU 7月号診察室

 

短期間ですみ痛みも軽減

我慢しないで専門医に相談を

 

執 筆

特定医療法人 福島厚生会

福島第一病院 循環器科部長 小川 智弘

 

立つと足の血管が浮き出てくるのは静脈瘤?

 立位時に、蛇行した血管が浮いてくるが、横になると太くなった血管の拡張がなくなる場合には、下肢の静脈瘤と考えて間違いありません。下肢では静脈の血液が重力に逆らって心臓に(足から心臓に向かって)戻っていかなければなりません。血液が逆方向に流れないようにするために、下肢の静脈には下から上にしか血液が流れない一方向性弁が存在しています。また、この弁は表在静脈と深部静脈との連結している静脈にもあり、深部静脈から表在静脈への血液の逆流を防止しています。これらの弁が静脈炎などによって破壊されると、血液が表在静脈に逆流し、うっ滞するために、ぎょろぎょろと太くなった静脈が、表面に浮き出てくるようになるわけです。

足が痛い、だるい、皮膚の色が変わるなどは静脈瘤の症状?

 静脈瘤では立位により静脈血の逆流のため、足に血液がうっ滞し、長時間、立っていると足のだるさ、痛み、ほてり、痒みが生じるようになります。さらに夜間に足のこむらがえりを訴える患者さんも少なくありません。表面的には静脈瘤の蛇行拡張に加えて、下肢の脹れ、皮膚の湿疹、色素沈着、さらに進むと皮膚が破れて潰瘍となることもあります。

どのような人がなりやすいのか?

 女性に多く認められ、特に妊娠、出産をきっかけとして静脈瘤が発症することが多いです。さらに遺伝的素因(静脈瘤の家族歴がある)、長時間の立ち仕事、肥満などが危険因子としてあげられます。

静脈瘤の治療法は?

 静脈瘤治療法には圧迫療法、硬化療法および外科療法があります。

  1.圧迫療法

 圧迫療法は弾力ストッキングや弾性包帯によって静脈瘤を圧迫する治療法であります。これにより、幾分症状の軽減効果がありますが、静脈瘤自体をすっかり直してしまうことは出来ません。しかし、圧迫療法は硬化療法や外科治療と同時に併用しても使用される基本的な治療法です。

  2.外来で出来る硬化療法

 硬化療法とは硬化剤を静脈瘤内に注射し、静脈瘤を固めて消失させる治療法です。これは外来通院でも出来る治療法で、軽症の静脈瘤には非常に有効です。

  3. 入院2―3泊で出来る外科療法

 外科治療には皮膚の局所麻酔下での静脈結紮術および全身麻酔を併用した静脈抜去術があります。当院では、静脈の逆流が認められる血管を結んでしまう静脈結紮術では、希望があれば、外来治療も可能ですが、検査を含めても2泊3日の入院で行っています。

 太い静脈瘤が多く認められる場合は、静脈瘤を抜き取る手術となります。この手術でも、3泊4日の短期間の入院で行っています。いずれにしても、手術のキズは小さく、術後にほとんど痛みを感じることなくすみます。また、退院後は普通に仕事が出来ます。

予防法は?

 立ち仕事が多い方には、医療用ストッキングの着用をお勧めします。さらに、長時間、同じ位置で立つ場合に足踏みを行うと静脈の流れが良くなります。また、静脈のうっ滞をとるために、就寝時には足をやや高くしてください。

最後に

下肢静脈瘤は放って置くと進行して、経過とともにひどくなっていく事も少なくありません。今では、その治療の際の痛みは注射を我慢する程度ですみますし、短期間での治療が可能であります。下肢の静脈瘤でお悩みの方はぜひ専門医に相談してみてください。