閉塞性動脈硬化症

 

人生をだいなしにする恐れ

”5カ条”で足の健康を守ろう

閉塞性動脈硬化症とは?

 閉塞性動脈硬化症とは足の血管(動脈)が動脈硬化をおこして、血液の流れが悪くなり、足がつめたく、しびれ、そして足が痛くなり、遂には皮膚がくずれて潰瘍になったり、足が腐ることもある病気です。血液の流れが悪くなると、皮膚の色が蒼白となり、テカテカしてきて、爪の形も変わって来ます。さらに長い間続くと筋肉がおちて、悪い方の足はだんだん痩せてきます

執筆

 

(医)福島厚生会 理事長
心臓血管病センター
星野 俊一

どんな足の痛み?

 足の痛みには2つの種類があります。そのうちの1つはしばらく歩くと痛む場合(間歇性跛行)と、もう1つは夜中などに痛む場合(安静時疼痛)があります。

間歇性跛行とは?  

 間歇性跛行はじっとしていると痛みはないが、しばらく歩くと腰や臀部、ふともも、ふくらはぎが痛くなる場合などがあります。立ちどまって少し休むと再び歩くことができる状態です。痛みを感じないで歩ける距離を跛行出現距離というが、文献上もはっきりした定義がないので、筆者は300メートル以上を軽症、50メートル以下を重症、そしてその中間の300~50メートルを中等症としています。跛行出現距離が300メートル以上の軽症では、買い物や散歩あるいはゴルフのロングホールで痛みを感じるのでやや不便です。重症の50メートル以下では日常生活に支障を来たすばかりでなく、旅行や野外活動が億劫になり、すべてに消極的となる傾向があります。そのような人は短命になるという統計もみられます。

安静時疼痛とは?  

 安静時の足の痛みは歩行後の痛みとちがって、もっと重症です。じっとしていても膝から下が激しく痛み、鎮痛剤を必要とすることが多い。そんなときベットや椅子から足を下げ、下垂すると若干痛みが和らぐことがあります。

足の脈拍のみかた

 動脈硬化症では血液の流れる通路(血管内腔)が狭くなったり、つまったりするので、足の脈拍が弱くなったり、触れなくなったりします。足の脈拍のみかたは、利き腕の人差し指と中指の2本をそろえて、動脈の上にそっとあてて拍動を感知する方法です。まず足のつけ根(大腿動脈)で脈拍を触れます。次いで足の甲(足背動脈)、またはくるぶしの後ろ(後脛骨動脈)に指をあてて脈拍が触れるかどうかをみます。脈拍の消失は動脈の閉塞を意味します。この際必ず左右の足の脈拍をみることが大事で、脈拍の強さを比較します。悪い方の足では脈拍が触れにくいことが多い。神経圧迫による神経性間歇性跛行では、脈拍は左右とも正常に触れるのが特徴です。

病院での検査は?

 病院での検査は従来は血管造影検査が主であったが、現在では苦痛なく、検査できる無侵襲診断法が主流となってきました。この中には脈波、超音波診断、近赤外線分光法、サーモグラフィーなどがあります。その他3次元CTやMRI検査などもあるが、全体像を把握するためには、血管造影は重要です。

治療法

 足を血管病から守るためには、守るべき5ヶ条があります。 1.足や足ゆびを清潔にし保 温に気をつける。 2.深爪や外傷を避ける。 3.自分の足にフィットした、 むれない靴をえらぶ。 4.規則正しい歩行訓練をす る。 5.禁煙  治療法  治療は冷感、しびれや軽症の間歇性跛行では運動療法と必要に応じ薬物療法を行います。中等度、重度の間歇性跛行、安静時疼痛では血管内治療(切らないで癒す治療で、最近進歩が著しい)を選択し、なるべく手術療法を避けます。潰瘍・懐死では手術療法が行われるが、足切断に至ることもあります。

まとめ  

 近年閉塞性動脈硬化症は生活習慣病の増加に一致して多くなってきました。高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などはその予備軍なので充分留意する必要があります。閉塞性動脈硬化症は「歩く」という最も基本的な人間の行動をだめにしたり、人生をだいなしにすることも多く見られます。冷感・しびれ、間歇性跛行、安静時疼痛などを自覚したら、早目に専門医をたずねることをおすすめします。