福島民友新聞 ME&YOU 11月号掲載

 

体の変調を示す危険信号

放ってはおかず医師に相談を

むくみとは?

 むくみ(浮種)とは血管の内の水分が組織にしみ出してたまてしまったために足が腫れた状態を言います。

執筆

 

(医)福島厚生会 理事長
心臓血管病センター
星野 俊一

むくみの原因は?

 むくみの原因が心臓である場合は息苦しさを伴うのが普通で心不全といわれる状態です。肝臓では、門脈(胃や腸から肝臓へ流れ込む静脈)の圧が高くなると、血液の流れが悪くなり、おなかの静脈が太く浮いてきます(肝性浮腫)。この場合は手のひらが赤くなったりするのが特徴です。腎臓では尿からタンパク質がどんどん出てしまうのでむくみ(腎臓浮腫)が生じますが、この場合は足もむくみますが最初は顔、特にまぶた(瞼)が腫れるのが特徴です。一方,全身性のむくみとは別に足の静脈が血流の塊(血栓)によってつまったり、流れが悪くなるために足がむくむ血栓性静脈炎があります。
 この場合には、血栓が血流の流れに沿って肺まで届き、肺の血管をつめてしまう肺梗塞(はいこうそく)症を発症して重症になるので用心しなければなりません。血栓性静脈炎は寝たきりの人や手術後などで身体を動かさない人に多く起こりますが、原因のはっきりしない場合もあります。また長期の点滴注射などが原因になることもありますし、血液が普通より固まりやすい体質をもった人(血液凝固異常)にも見られます。

むくみは体調の赤信号

 このように足のむくみという症状にはさまざまな要因がありますし、その原因が重複する場合もあります。むくみは身体の変調を示す危険信号ということができます。むくんでも大したことはないと放っておかないで医師に相談なさることをお勧めします。

むくみの見つけ方

 むくみの簡単な見つけ方は、自分で弁慶の泣き所とよばれるスネ(脛)を人さし指で軽く押し、その跡をそっとなぞってみてください。くぼんでいれば「むくみあり」です。巻き尺で足の太さをはかり、むくんでいない足と較べるのも良い方法です。

むくみの診断

 心不全によるむくみが疑われる場合には、胸部レントゲン写真で心拡大の有無や肺がうっ血していないかをチェックします。肺性浮腫では腹水がたまるのでおなかがぱんぱんに張って、おなかの静脈が太く浮いて見えます。血液で肝臓機能検査をすれば、はっきりします。腎性浮腫では,尿を検査するとタンパクが強陽性で、顕微鏡で見ると血液を混じた血尿が見られ、この場合には血圧もあがったりします。
 局所性の足のむくみの原因となる血栓性静脈炎の診断は以前は静脈造影をやって診断しました現在脈管用のカラー超音波検査でやれば、痛くもなく的確に診断できます。これはプローブを静脈に沿って当てるだけですので無侵襲性であり、かつ繰り返し検査することができるので治療効果を確かめたり、経過を追うのに大変便利です。

むくみの治療

 全身性のむくみをとるには、まず利尿剤を投与して尿量を増加させ、むくみを減らす治療が必要です。それに加えてむくみをもたらした原因に対する治療も考えなければなりません。その原因治療はまず精密検査を行ってその病態をはっきりさせることから始めます。たとえば心臓弁膜症ならどの弁が狭くなっているのか(狭窄)、あるいは逆流しているのか(閉塞不全)、そしてその程度は?と検査を進めます。そして患者さんに最も適した治療法を詳しく検討し患者さんとご家族に納得がいくまで説明し(インフォームドコンセント)、治療方針を決定する段取りとなります。肝臓疾患や腎臓疾患では原因治療は必ずしも容易でない面もあります。病気の進行を抑える治療だけとなる場合もありますので、改めて早期受診の必要性を喚起したいものです。
 血栓性静脈炎では足がむくんだら、早ければ早いほど治療効果が良好ですので、むくんだら直ちに対処することが重要です。つまった静脈の内に細いカテーテルを通して血栓を融かす薬(血栓溶解剤)を点滴して血栓を融かす治療は、早いほど効果があがります。血栓が肺までとんでしまった肺梗塞でもこの方法は有効です。
しかし、なかにはむくみとひどい痛みがある場合もありますが、放っておくと足が壊死(えし)になってしまうので、血栓を除去する手術法をとることもあります。そんな時は直ちに病院においでください。