福島民友新聞 ME&YOU 10月号掲載

 

疾患の多くは腰に原因

症状にそって専門医受診を

 

 患者さんのなかには足趾(ゆび)がしびれて私達の外来を訪れる方も多数見られます。多くは腰に原因があるようです。若い患者さんは腰椎椎間板ヘルニアが、高齢者は腰部脊柱管狭窄(きょうさく)が多いようです。高齢者にもしばしばヘルニアが合併しています。腰に問題のある疾患のなかで、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で足にしびれが来ることはまれのようです。

執筆

 

整形外科・リウマチ科部長
千葉 勝実

拇趾(おやゆび)のしびれ

拇趾にしびれがある場合は腰の第4〜5腰椎椎間板の部位で、主に軟骨(腰椎椎間板ヘルニア)により第5腰神経が圧迫されていることが最も考えられます。同時に拇趾の反る力が減弱している場合、拇趾と2趾の間の感じが鈍くなっていたらほぼ間違いないようです。かかと歩きをした時に足が背屈できない時はやや重症です。  拇趾にしびれを生ずる疾患の一つに腓骨(ひこつ)神経麻痺があります。腓骨神経は膝の下外側にある骨性の隆起の下を通っており、この部位が何らかの原因で圧迫されると容易に麻痺を起こします。問題になるのは高齢者が何らかの原因で寝込んだ時に生じたものです。なかなか改善しにくいので、そのような場合、拇趾にしびれがあるかどうか、神経の圧迫の有無を頻繁にチェックし早期に発見する必要があります。

 足の甲の高いところで神経が靴で圧迫されたときにも拇趾にしびれが出ることがあります。きつい靴に注意しましょう。

小趾のしびれ

小趾にしびれがある場合は腰の第5〜仙椎の1番の間の椎間板の部位で、主に軟膏により第1仙骨神経が圧迫されていることが元も考えられます(腰椎椎間板ヘルニア)。同時に足趾の蹴る力が減弱していたり、足底の感じが鈍くなていたらほぼ間違いないようです。つまさき歩きができない場合、病状は進行しています。

 小趾にしびれを生ずる原因の一つに膝の後ろを走っている神経(脛骨神経)麻痺、お尻の所を走っている神経(坐骨神経)麻痺があります。これらは頻度が少ないようです。

足全体のしびれ  

足全体がしびれる場合は、血管がつまったり、糖尿病などにより広範囲に神経が障害されたり、整形外科関係では脊髄(せきずい)に何らかの障害が生じたときなどが考えられます。当然のことながら脳梗塞(のうこうそく)の場合もあります。つっぱりを伴う場合は中枢神経(脳、脊髄)に、筋肉の緩さを伴う場合、末梢の神経障害のことが多いようです。このような場合は寝たきりになる場合が多く早めに専門医を受診してください。血管がつまった時には痛みを伴い、皮膚の色が悪くなります。心臓血管外科を受診してください。糖尿病を心配される方は内科の先生に相談しましょう。

拡大、縮小するしびれ

時間の経過に伴いしびれが拡大、縮小する場合は腰部脊柱管狭窄症があります。最近、高齢化が進み、しかも元気に活躍されている方が多く、この疾患を診察する機会多くなっていますので、腰部脊柱管狭窄症について詳しく述べてみたいと思います。

長歩きができない

背骨は簡単に言えば前方の支柱の部分と後方の管状の部分から成り立っています。その管状の部分が加齢、肉体的ストレスなど何らかの原因により狭くなってきた状態を脊柱管狭窄と言います。脊柱管の中には神経が通っており慢性的に圧迫されると症状が出てきます。背骨には動きがあり、腰の場合、前かがみにて脊柱管はやや広がり、後屈にて狭くなります。腰の動きにより神経に対する圧迫が強くなったり弱くなったりします。時間の経過に伴いしびれが拡大、縮小する理由はここにあります。背を伸ばして歩いていると両足から上のほうにしびれが出て歩行が困難となります。しゃがみ込んで休む、すなわち前かがみになることにより脊柱管はやや広がり、神経に対する圧迫が減少し、しびれは急速に軽減し再び歩行可能となります。この繰り返しを間歇性跛行(馬尾性)といいます。症状が進むと歩ける距離は次第に短くなり、立っている時や仰向けに寝てただけでもしびれが出てくるようになり、腹這いにはなれなくなります。排尿など会陰部に関する症状も出てきます。

 診断は症状を聞くだけでほぼ可能ですが、X線写真、MRI検査を行えばより確実です。  

 対策としては脊椎の安静のためコルセットを着用したり、歩行時は杖や手押し車を使用すると楽になります。長い距離を移動する場合自転車を使用すると楽ではありますが、足が充分に届くものでないと危険な場合が多いので注意してください。寝るときは横向きで腰を丸めて寝るか、仰向けに寝る場合、膝下に丸めた毛布などを入れて寝られると良いでしょう。神経は圧迫のため阻血状態になっているとも言われ禁煙が必要です。

 治療はさまざまな方法がありますので近くの整形外科に相談してみてください。