福島民友新聞 ME&YOU 9月号掲載

 

全体重を支える大事な部分生活習慣からさまざまな障害

 足は踵(かかと)から足趾(そくし)に向かう縦のアーチと、拇趾(ぼし)から小趾に向かう横のアーチがあり、踵と五本の足趾で全体重で支えています。例えれば、本数に差はありますが東京タワーの脚のようになっています。長時間自分の体重を支えているとそのアーチは次第に低くなってきます。筋肉疲労、体重の増加、重労働、靭帯(じんたい)の脆弱(ぜいじゃく)化などがあるとアーチの低下は助長されます。アーチの低下は足にさまざまな障害を生じます。主に一日中立ち仕事をしている方などに多い足の痛みについて お話します。

執筆

 

整形外科・リウマチ科部長
千葉 勝実

 

外反拇指

 拇趾の付け根の膨らみの部分(第一中足骨頭)をつかんで動かしてみてください。よく動くと思います。構造上よく動くようにできています。特に内部によく働きます。長時間自分の体重を支えているとその重さで、次第に横のアーチが減少し、第一中足骨頭が内側に移動します。しかし拇趾の付け根(基節骨)に拇趾内転筋と言う強い筋肉が付いていて拇趾を外側(小趾側)に引いて結果的に拇趾は外反します。長期間同様な状況にあると変形は恒常的なものとなります。予防としては、体重のコントロール、足の筋力の強化。さらに長時間の立位作業に従事されている方は休み時間は臥床(がしょう)し足を挙上し、足の疲労を回復させてください。  筋力を強化するためには、足趾でタオルをつかむ運動をするのもよいでしょう。休みの日はぞうりなどを履くのもよいでしょう。治療は各種装具(多くのものが市販されています)が、趾間にはさむタイプのものは他趾の変形を引き起こしたりします。注意が必要です。変形が進むと手術的に対処します。手術方法にもいろいろ有りますが骨に手を加えないと再発することが多いようです。

 

ハンマー趾

 主に第2・3・4趾に生じます。同様に2趾の付け根の膨らみの部分(第2中足骨頭)をつかんで動かしてみてください。今度はほとんど動かないと思います。構造上動かないようにできています。歩行の際、踵から体重が足趾に抜ける際に2趾が中心となり、支えます。横のアーチと同様に長時間の立体作業をされている方は縦のアーチも現減少してきます。縦のアーチが減少すると足趾が背屈し、靴に当たり、趾背に胼胝(たこ)や鶏眼(魚の目)が生じます。指先は屈曲し圧迫され、同様にたこや魚の目が生じます。予防方法は外反拇趾と同様ですが、土踏まずを下から支えてやると症状が改善します。治療は装具(アーチ支え)、手術(胼胝、鶏眼切除)などがあります。実際は切除しても縦のアーチに対して対処しないと再発を繰り返します。

 

偏平足

縦のアーチに障害があります。足の背が内下方に落ちて低くなります。土踏まずを下から支えてやると症状が改善します。いらなくなった肩のパッドを利用されるとよいでしょう。肩のパッドを2,3枚重ね縫いして土踏まずの所にあてますが、ゴムのバンドをつけて足に固定するとより効果があります。  その他にも踵骨棘、足底腱膜炎、モートン病、外脛(がいけい)骨などアーチの破綻から生ずると思われる疾患があります。予防法、治療法は同様です。

 

陥入爪(巻き爪)

生活習慣から思われる疾患の中で最近多く見られるのが陥入爪です。拇趾に好発します。 原因は不明ですが、靴の生活が大きく関与していると思われます。陥入爪の周囲の皮膚を見ると腫れて軟らかいことが多いです。爪は皮膚の一部です。足の皮膚を鍛えておくことが予防になるかもしれません。一日中靴を履いている方は家では素足でいるのがよいかもしれません。化膿を繰り返す方は手術が必要です。食い込んでいる部分のみ爪を切り取っても再発します。炎症が改善したら爪の拇床まで十分に形成してもらいましょう。

 

足趾の付け根が腫(は)れて痛い

痛い部位が拇趾の場合痛風が考えられます。尿酸の結晶が関節の中に放出され激しい痛みを生ずるこの疾患は、成人男性に多く、子供と若い女性には発症しないといわれています。遺伝的素因が関与していると考えられています(一次性)。また他の疾患や薬剤の副作用で発症する場合(二次性)もあります。治療は、発作時は消炎鎮痛剤を使用し、血液中の尿酸をコントロールする薬剤の投与が必要です。食生活の改善も重要です。二次性の場合、原疾患に対する治療が必要です。  足趾の数本に腫脹(はれ)、疼痛がある場合リウマチが考えられます。足趾の関節はリウマチの好発部位です。専門医を受診しましょう。  足の痛みにはさらに、足趾が痛くて冷たい、色が白い(閉塞性動脈硬化症)。足趾が痛くてしびれる。感覚が鈍い(神経障害)などがあり、前者は血管外科、後者は整形外科、または神経内科を受診してみてください。  地球の引力に抵抗して、地面に張り付いている時間の長い部分を大事にしましょう。