福島民友新聞 ME&YOU 7月号掲載

 

侮れない手指の痛み

手指が痛いのはリウマチか

 

「手指が痛くて、近くの病院を受診し、リウマチ検査をしたらリウマチと言われた」。「家族・知人にリウマチの患者さんがおり、私もリウマチではないか」など、当科には手指の疼痛(とうつう)のためリウマチ(慢性関節リウマチ)を心配して受診される患者さんが多い。しかし、その大半はリウマチではありません。

執筆

 

整形外科・リウマチ科部長
千葉 勝実

リウマチを確実に診断する検査はない

リウマチ(リウマトイド因子)検査とはリウマチを診断する検査なのでしょうか。リウマトイド因子は免疫グロブリン(IgG)の一部に対する抗体で、関節痛あるいはリウマチ性疾患(しっかん)を疑うときに頻繁に測定されます。しかし、その意義は十分に解明されておりません。リウマトイド因子は慢性関節リウマチ患者の70〜80%に陽性となりますが陽性だからといって慢性関節リウマチとは限りません。他の疾患や高齢の方でも陽性になることがあります。逆に陰性だからといってリウマチを否定できません。現在のところ、リウマチを確実に診断する検査はありません。

慢性関節リウマチとは

みなさんが最も心配している慢性関節リウマチとはどのような病気なのでしょうか。まだ原因も不明なため分類基準が定められています。1時間以上持続する朝のこわばり、3ヶ所(単に3ヶ所というわけでない)以上の関節炎、手関節炎、対称的である、リウマチ結節がある、リウマトイド因子が陽性、X線写真上リウマチとして矛盾しない変化がある、これらの項目のうち少なくとも4つ以上ある場合に診断します。

好発部位は、腫(は)れの特徴は

よく罹患(りかん)しやすい関節は、指先から2番目・3番目の節(関節)・手関節が侵されます。1番目はあまり侵されません。腫れは関節内部の膜(まく=骨膜)の肥厚と水(関節液)の貯溜のため紡錘状(ぼうすいじょう)に見え、押すとぶよぶよします。

他に手の痛みが生ずる病気は

リウマチと間違えやすい疾患に全身性変形性関節症があります。リウマトイド因子は陰性のことが多く、よく罹患しやすい関節は、指先から一番目・二番目の関節と母指の付け根の関節です。罹患頻度が多いため一番目はへバーデン結節、二番目はプッシャー結節といわれています。腫れの特徴は骨性で硬いのでリウマチとは異なります。この病気も原因不明ですが、日常生活はリウマチほど障害されません。
腱鞘炎(けんしょうえん)も多く見られます。掌(てのひら)中央のしわの部分に痛みがあり、症状が進むと指のスムーズな屈伸が不能となります。社会が忙しくなり手を使う頻度が多くなっているようです。
頻度は少なくなりますが、ほかにも膠原病(こうげんびょう)や乾癬(かんせん)、尿路感染(ライター病など)、呼吸器疾患(リウマチ熱、結核、肺炎など)、消化管疾患(大腸炎、手術後、悪性腫瘍=しゅよう=、炎症性腸疾患など)、悪性腫瘍(局所)、結晶沈着(痛風、偽痛風など)、感染(化膿=かのう=性、ウイルス性)、血管性疾患、婦人科疾患など、その症例はさまざまです。

じっと手を見る

時々、運動器の中で最もよく働いている手を見てください。爪はどうか。丸みを帯びていないか、反り返っていないか、しわはないか、ちいさな窪(くぼ)みはないか、色は、白い半月状の部分の長さは十分か、多すぎないか、爪の周囲は赤みを帯びていないか。てのひらは真っ赤でないか。手指の節々は腫れていないか、こぶあないか。手指の痛みは体調を示すバロメーターとも言えます。
 手指の痛みぐらいとの侮らないで、リウマチ外来を受診してみてください。