福島民友新聞 ME&YOU 4月号掲載

 

心臓へ血液が行かなくなる

放置すれば高い死亡率

狭心症、心筋梗塞とは?

狭心症、心筋梗塞は、いずれも心臓の筋肉(心筋)に栄養を送っている冠動脈に、主に動脈硬化による狭窄あるいは閉塞が生じ、血液の供給が減るか途絶えることによって起こります。
この血液の供給が減ることや途絶えることを虚血というので、狭心症と心筋梗塞をまとめて虚血性心疾患と呼んでいます。
狭心症と心筋梗塞の大きな違いは、心筋が回復するかどうかで、狭心症では心筋が壊死せず回復するのに対して、心筋梗塞では心筋が壊死したまま回復しません。

近年我が国の虚血性心疾患の人口10万対死亡率増加は著しく、昭和25年は約10人に過ぎなかったものが、平成9年には約60人と6倍に増加しており、このデータを福島県に当てはめれば、年間約1200人の方々がこの疾患で亡くなられていることになります。

執筆

 

心臓血管病センター長
緑川 博文

どのような人がなりやすいのか?

虚血性心疾患は、いわゆる動脈硬化性疾患であり、動脈硬化の危険因子である、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙を有する方々に多いと言われています。またその他に、遺伝的要因、男性、高齢者、ストレス及び過労などもその危険因子といわれております。

こんな症状にご注意ください?

胸痛が主症状と一般的にいわれていますが、具体的には胸がつまる、おさえつけられる、圧迫されるなどと訴える患者さんが多いようです。また時には上腹部がむかむかしたり、首・肩・腕などが痛かったり、息切れや動悸がすると訴える患者さんもいます。
 このような症状の場合、まず安静を保つことが大切です。狭心症の場合大部分は1〜2分で症状は消失し、長くても15分以上持続することがなく、これ以上症状が持続する場合は、心筋梗塞が疑われますのですぐ専門医を受診することがよいでしょう

診断は?

  熟練した専門医であれば、患者さんの訴えを十分にきくことにより、病状がどのようなものであるかある程度見当たりがつきます。そのうえで非侵襲的診断法として、安静時及び運動負荷心電図、24時間心電図、心エコーなどが行われます。
 しかし、確定診断及び治療法の決定には、心臓カテーテル検査が必要です。この検査法は、手足の動脈及び静脈からカテーテルと呼ばれる細い管(1〜2ミリメートル)を心臓に挿入し、狭心症や心筋梗塞の原因になる冠動脈の狭窄の程度を把握することが可能です。

治療法は?

主に薬物療法と血行再建術に大別されます。薬物療法としては主に冠動脈を拡張させつ亜硝酸剤、カルシウム拮抗剤及び、血液を固まりにくくし血栓をできにくくする抗血小板剤などがあります。
 血行再建術には、経皮的に挿入したカテーテルの先についたバルーンとよばれる風船やステントとよばれる金属の筒で冠動脈の狭くなっている部分をひろげる経皮的冠動脈形成術(PTCA)と、自分の胸の裏側についている内胸動脈や下肢の静脈で大動脈と冠動脈の橋渡しをする大動脈冠動脈バイパス術(A−Cバイパス術)があり、両者は病変の程度により使い分けられます。

この病気で悩まれている方々へ

 虚血性心疾患は放置すれば大変死亡率の高い恐ろしい疾患です。しかし、現在の医療レベルであれば、専門医に正しい診断を受け、適切な治療を受ければ、何もおそれる疾患ではありません。
 また、この疾患は生活習慣病ともいわれるように、皆さんが日常生活のなかで前記した危険因子の改善につとめることも重要ですので、常日頃の少しずつの注意が怠らないようにすることが肝要です。