福島民友新聞 ME&YOU 3月号掲載

 

一度に長い距離を歩けない・・・

血流の低下が原因かも

 

 

間歇性跛行とは?

あまり聞きなれない言葉だと思いますが、間歇性跛行とは、一度に長い距離が歩けず、2、300メートル歩くと途中で休憩しなければ歩けなくなる症状をいいます。近年、60歳を過ぎてこうした症状に悩まされている患者さんが増えていま

 

執筆

 

心臓血管病センター長
緑川 博文

その原因は?

間歇性跛行は,神経性によるものと、血管性によるものに大別されます。前者は、脊柱(背骨)の変形、圧迫などによる坐骨神経の症状として起こります。また、歩くと足が痛くなる場合、一般的には整形外科医や接骨院などを受診されることが大部分であり、血管性、つまり足の血管の動脈硬化による血流低下によっても起きることは意外と知られていません。動脈硬化は、動脈(酸素化された血液を流すパイプ)の血管壁にコレステロールなどが溜まり、これによって血管の内腔が狭くなり、放置しておくと完全につまってしまう病気であり、近年の高齢化社会、食生活の欧米化、喫煙などにより、動脈硬化は驚くべきスピードで増加しています。

診断法は?

血管性間歇跛行は、まず足の皮膚温、足背の動脈拍 動の有無などにより比較的容易に診断できます。しかし、正確な病変部位診断のためには、専門医(血管外科医)を受診し、超音波、CT、MRI、血管造影などの諸検査を受けることをお勧めします。また、最近血管性及び神経性の合併例も散見されますので、整形外科医も含めた相互診察も可能であれば必要かと思われます。

治療法は?特に血管内治療の進歩

 血管性間歇性跛行は、連続で走行できる距離が500メートル以上のような軽いものであれば、薬物(血管拡張剤、抗血小板剤など)療法及び運動療法でも十分治療可能です。特に歩行訓練を中心とした運動療法により、下肢の血流改善が得られることが解明されており、専門医を受診し、適切な運動療法の指示を受けてください。
 しかし、歩行距離が100メートル以下のような症例は、重傷間歇性跛行といわれ、放置すれば、歩行していないときも足が痛い(安静時疼痛)、ひいては壊死となり、足切断の危険性があります。ただし、間歇性跛行のうちに正しく診断し、適切な血行再建術をうければ、再び元通りに歩けるようになります。
 血行再建術には、従来行われてきた閉塞部位の中枢側と抹消側を人工血管(人工的に作成したパイプ)もしくは自家静脈(だれにでない血管)で橋渡しするバイパス術が一般的でした。しかし近年、血流障害の起きている動脈に、種々のカテーテルと呼ばれる細い血管を挿入して閉塞部位を開通する血管内治療が行われるようになってきました。この治療法の利点は、わずか2〜3ミリメートル程度の孔を注射針を用いて皮膚に開けるだけですので、局所麻酔ですみ、手術してから退院までの期間は4〜5日、患者さんへの身体的負担も軽く、術後の痛みもほとんどないことから、社会復帰も早期にしえるというところにあります。

最後に

 昔から”老いは足から”といわれ、歩けないことは老化現象だろうといわれてきたり、また思い込んできた方々も多いのではないでしょうか?しかし、よりよく生きていくためには、歩いて自分の行きたいところにいけることは、とても大切なことと思います。すべてを、血管外科医が解決できるわけではありませんが、歩けないことをあきらめず、一度思いきって血管外科医を受診されてみてください。