2017.3月号より

脂肪と肥満

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


心臓病による死亡は世界で第1位、本邦においては癌に次いで2番目だが、単独の病気としては最も多い。特に最近は若い世代の心筋梗塞が増えている。日常の食生活での脂肪の摂り方が要因として上げられる。
脂肪とは
脂肪とは脂(あぶら)のことで、動植物に含まれる栄養素のひとつ。
糖質、蛋白質、脂肪は三大栄養素と呼ばれ脂肪は1g当り9キロカロリー、糖質、蛋白質は4キロカロリーと脂肪の熱量が最も大きい。
軽い運動では脂肪が糖質よりも多く消費され、強い運動では糖質が優先的に消費される。栄養が不足してくると、まず筋肉が分解し蛋白質として利用され、次に脂肪がエネルギー源として使われる。たとえ飢餓状態になっても水の補給さえあれば、脂肪を使いきるまで餓死することなく、3〜4ヶ月は生存できる。哺乳類の熊は冬には脂肪を蓄え、餌を食べずに数ヶ月も冬眠して過ごすことからも頷ける。
脂肪の役割
脂肪酸は体内に入ると、脂肪組織の中にエネルギー源として蓄えられる。また人体の細胞膜、脳、各種ホルモンの材料になるなど極めて重要な働きをしている。しかし脂肪は肥満や動脈硬化などのもとともなるので、適度に摂取することが健康を維持するために必要な条件となる。
脂肪は摂取されるとリンパ管・静脈を経て、脂肪組織・筋肉・肝臓に貯蔵され、必要に応じて代謝される。脂肪を過剰に摂取すると肥満の状態をつくってしまう。
話題の脂肪酸
最近ダイエット効果で注目を浴びている中鎖脂肪酸は、門脈へ直行し肝臓で速やかに消化されるので、内臓脂肪・体重・ウエストサイズを減らし、肥満・心筋梗塞・動脈硬化のリスクを軽減する。また抗酸化が強くアンチエイジング効果も期待できる。ココナッツやパームフルーツなどヤシ科の植物の種や母乳、牛乳などに含まれている。
現代の日本人の食生活は若干バランスの崩れが気になる。オメガ6(リノール酸)が過剰摂取される一方、リノール酸と反対の性質を持つオメガ3(アルファ・リノレン酸)が不足している。オメガ6は現在よく使われている油や牛肉、豚肉、鶏肉に含まれている。リノール酸は体内でアラキドン酸に変化し炎症やアレルギーの原因にもなり、大腸がん、乳がん、動脈硬化、心臓病などの危険因子ともなる。一方オメガ3は炎症を抑え、癌の増殖・動脈硬化を止める働きなどオメガ6の危険因子を中和する働きがある。オメガ3はアジ、鯖、カツオ、マグロ、鮭などの青魚に含まれる。日本食が外国人にも普及してきた所以でもある。
トランス脂肪酸はマーガリン、ショートニングを使う菓子やスナックに多く含まれ、心筋梗塞のリスクを高める。アメリカ食品医薬品局FDAは今年6月以降トランス脂肪酸の食品への添加を認めない方針を打ち出した。一方日本ではトランス脂肪酸の表示義務は今のところないのが現状。トランス脂肪酸は摂り過ぎると悪玉コレステロールが増え、善玉コレステロールが減り、動脈硬化につながる。日本人全体でみるとトランス脂肪酸の摂取量は世界保健機関WHOが勧告するレベル以下。しかしトランス脂肪酸を多く含むフライドポテトや菓子パンには御用心。
脂肪を減らすためには
脂肪を燃焼させるには、ウォーキングなど軽い有酸素運動が効果的。運動により、まず血液中に含まれるエネルギーが使用され、不足すると脂肪が燃焼する。運動の殆どは無酸素運動なので、脂肪燃焼の目的とはそぐわないので要注意。