2017.2月号より

筋力増強

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


筋肉は体を支え、動かしまたエネルギーの一時貯蔵などの役目も果たしている。筋肉量が減少すると日常の活動が消極的になるばかりでなく、体の抵抗力が弱くなり、病気にかかるリスクも増大する。
筋肉の構成
身体には3種類の筋肉がある。
@骨格筋は腕や脚の筋肉、腹筋や背筋など体を支え運動の役割を担い、自分の意志で動かすことができる。
A平滑筋は血管や内臓の壁の筋肉で、自分の意志では動かせない。
B心筋は心臓をつくる特殊な筋肉。24時間休まず収縮・拡張を繰り返す。
体全体の筋肉総重量は体重の40〜50%。成長するにつれ筋肉量は増加、20歳頃までには筋肉は太く長くなっていく。ピークを過ぎると少しずつ筋肉量は減少し、70歳代では20歳代の4割程度に減少する。特に中年期にあまり運動しないで過ごすと筋肉は急激に減少する可能性がある。
筋肉が減ると?
筋肉が減るとパワーが弱くなり、転倒するリスクが高まるだけでなく身体の免疫機能は低下し、細菌、ウィルス感染に対する抵抗力も低下する。そのため肺炎などの感染症にかかり易くなる。
筋肉は血糖値の調節も行っている。食事後、糖は一時的に筋肉に溜め込まれるが、筋肉が減ると糖の保管場所が減少するため、糖を調節する力が低下し血糖値の変動が大きくなり、糖尿病になるリスクが生ずる。
サルコペニアを防ぐには
サルコペニアは加齢や生活習慣病などの影響によって、急激に筋肉が減ってしまう状態。65歳以上の高齢者に多くみられるが、65歳以下でも普段あまり運動もせず歩かないでいると、筋肉が著しく減ってくる。サルコペニアになるとまず歩く速度が遅くなる。更には日常生活の動作が困難になり、病気になり易くなる。
サルコペニア予防の基本は運動と食事。筋肉は年齢に伴って減少するが、運動や適切な食事によって高齢になってからでも増強することが可能。筋肉を造るにはたんぱく質だけではなく、1日3回の食事でバランスよく栄養を摂ることがポイント。
筋力アップの方策
筋力は年齢とともに低下の傾向にある。筋肉量を維持するためには少なくとも1日6000〜8000歩は歩くことが必要とされる。筋肉が少ない状態から始めて、筋肉を増やしていくためには筋力トレーニングを行うことが必須。高齢であっても、筋トレを行えば筋肉を増やすことは可能なので、諦めることはない。
筋力トレーニング
筋力トレーニングは筋肉量を増やし、太く、大きくするイメージがあるが、単純に太く大きくするだけではなく、脳からの動作指令に素早く反応することにもつながる。中年以降になっても素早く軽やかに動ける筋力が望ましい。人は足腰から老いると言われ、高齢になっても自由に動ける体を作っておくことが肝要。
加圧トレーニングの効用
加圧トレーニングは週1回30分程度のトレーニングで筋肉量アップに効果的。腕と脚の付け根に専用のベルトで適正圧を加え、血流を制限して比較的軽い運動を行う。加圧トレーニングは「短時間」「低負荷」「短期間」が特徴で、高負荷運動と同様もしくはそれ以上の筋トレ効果が得られる。
腕・脚の血流を圧迫するため、筋肉が一時低酸素状態となり血中に乳酸が蓄積する。圧迫解除により乳酸は脳の中枢を刺激し、成長ホルモンが通常の約300倍分泌される。増加した成長ホルモンは筋力アップに加えて体の回復力アップ、脂肪のつきにくい体質、肌のハリやつやを取戻すなどの成果が実証されている。