2017.1月号より

認知症

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


認知症とは
認知症という言葉や文字はほとんどの人が見たり聞いたりしたことがあるほどよく知られている。年齢を重ねると誰もが脳や身体の機能は衰えていく。ちょっとしたもの忘れは誰にでも増えて来るが、もの忘れイコール認知症というわけではない。認知症とは脳の認知機能が障害され、日常生活に支障を来した状態。
認知症の症状
新しいことが記憶できず、思い出せなくなる記憶障害、現在の年月日や自分がどこに居るかなど基本的な状況が把握できなくなる見当識障害、理解・判断力の障害などがみられる。暴言、妄想、徘徊などの行動や心理症状は個人差が大きく全員に出るわけではない。
アルツハイマー病
アルツハイマー病ではもの忘れが特徴的な症状。認知症の中でも最も多く、約半分を占めると言われている。記憶障害から始まり、次第に日常的な動作が出来なくなる。進行すると話すことも、歩くことも困難になってくる。基本的には遺伝性の病気ではなく、目下関連する遺伝子の研究が進められている段階。
症状が軽度の場合では同じ質問を何度も繰り返したり、物をどこかに置き忘れたり、約束したことを忘れたりする。また年月日もあやふやになり仕事に支障を来す。主婦では買い物や食事準備での失敗も多くなる。
中等度進行した段階では、自分の居る場所が分からなくなるため、初めは家から遠い場所で道に迷うようになるが、次第に近所でも迷うようになる。一人での買い物や季節に合った衣類を選ぶことが出来なくなる。何日も入浴しなくなったりすることもある。この段階になると自動車の運転は非常に危険となる。感情の起伏が激しくなって、大声を出したり、睡眠障害が起こったりもする。
高度に進行した段階になると、人物が分からなくなり、家族や子供もわからなくなる。目的を持った行動がとれなくなるため日常生活でトイレの場所もわからなくなったりする。使える言葉は減り、歩行能力も低下し、寝たきりになることもある。
アルツハイマー病の原因と予防
アルツハイマー病の原因はアミロイドベータ―という物質が脳の神経細胞を死滅させるのが原因で、現時点では進行を遅らせる薬しかなく、根本的な治療法は無いのが現状。そのため軽度認知障害の段階で対策を講ずることが重要。
軽度認知障害MCI
認知機能の低下はある日突然起こるわけではなく、緩やかなカーブを描きながら少しずつ低下していく。健康な状態と認知症の間には軽度認知障害という段階があり、これは健康な状態から認知症へ移りゆく途中の段階。65歳以上の高齢者の11〜17
%には軽度認知障害がみられる統計があり、1年当たりそのうちの10%が認知症に進むと言われている。従って軽度認知障害から認知症へ進行するのを防止することが重要。
適度な運動の重要性
最近の研究では1日30分、週5回のウォーキングに相当する以上の運動を10年間以上行っている人達では、アミロイドベータ―が蓄積された人は認めなかったというデータがある。適度な運動は高血圧や糖尿病など生活習慣病の予防や心身の健康維持のためにも極めて有効であり、継続的に行うことが勧められる。
高血圧、糖尿病などの生活習慣病があると認知症になり易いというデータもあり、自己管理が重要。軽度認知障害から認知症への進行を防ぐことは現段階では残念ながらまだ難しい状況であり、日常身体を動かす運動と生活習慣病の自己管理が重要となる。今年一年の計に運動は如何!