2016.9月号より

今年こそ夏バテ回避

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 寒い地域に住む動物ほど体が大きくなるというベルグマンの法則がある。熊では、熱帯に生息するマレーグマが140aと最も小柄で、日本からアジアの暖温帯に分布するツキノワグマは130〜200a、温帯〜寒帯に生息するヒグマは150〜300a、北極近辺に生息するホッキョクグマは200〜300aにも達する。日本国内の鹿でも、北海道のエゾシカが最大で、慶良間諸島のケラマジカが最も小柄という具合である。このような体形の変化は体温維持との関わりで説明される。恒温動物は常に体温を一定に保つため、体内では常に熱を生産し、体温が一定以上になると発汗による気化熱によって体の表面から熱が放出する。
 温暖地域で体温を維持するには十分な熱の放出が必要になるため、体重あたりの体表面積が広くなければならない。従って、小型が望ましいのである。逆に寒冷地域で体温を維持するには大型であることが有利になる。日本のような温帯地域では体が大柄の人の方がどちらかというと夏に弱い傾向にある(気がする?)が、定説はないようだ。
 夏バテのメカニズム
 人間の体は日本の夏のような高温多湿な状態に置かれると、体温を一定に保とうとして必要以上のエネルギーを消費し、かなりの負担を強いられる。過度の負担が連日続いたりすると暑さに対応できず、溜まった熱を外に出すことができなくなる。体温が上がったり、だるくなったり、胃腸の働きも弱ったりする。このような状態を夏バテと称する。
 夏バテの傾向と対策
 @自律神経の失調
 体は暑くなると血管を広げ、汗をかき、熱を放出して暑さに対応しようと反応する。この体温調節はデリケートな自律神経の働きによるものだ。冷房の効いた部屋に入っても、体はすぐにはその気温の変化についていけず、本来なら熱を放出する必要のない環境でも熱を放出してしまうことがある。温度が下がったことにセンサーが感知しても外気温の変化についていけず、本来なら熱を放出する必要のない状況でも熱を放出してしまう。こんなことが一日に何度も繰り返されると自律神経に負担がかかり、めまい、食欲不振、頭痛などを引き起こす。
 A水分不足
 夏は軽作業であっても一日2〜3gの発汗がある。発汗は体温コントロールにとって最重要な調節機能。熱を放出しないと体温が高温に保たれ、体に不調を来すので、気温や作業の軽重に合わせた水分補給が重要。また、汗を多くかくと体内の塩分が不足するので、スポーツドリンクなどの水分補給がおすすめ。冷たいジュースやドリンクのがぶ飲みは胃腸の温度を過度に下げ、食欲不振にもつながるのでほどほどに。
 B外気温と室内温度の較差
 外気温36〜40度は入浴と同程度の温度だが、そこから急にエアコンの効いた部屋に出入りすることで自律神経が乱れ、体調不良に陥る。報道される外気温は直射日光の当たらない芝生上の温度であり、コンクリートの建物や舗装道路などではこれより高温なので室内温との較差はかなり大きい。外気温と室内温の差は5度以内が望ましいと言われ、扇風機、除湿器などの使用も考慮する必要がある。
 C夏バテと食事
 夏は消化機能が低下し食欲が減退するため、ついのど越しの良いものが中心になりがち。タンパク質不足はより疲れ易く、スタミナ切れに陥り易い。汗と一緒に出てしまうミネラルの補給にも留意が必要。体調管理に気をつけ、元気に夏を乗り越えたいものだ。