2016.8月号より

夏の暑さに注意「熱中症対策」

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 熱中症は暑い日に起こり易いが、それほど暑いと思われない気温でも熱中症を起こす人がいる。年齢、体調、水分の摂り方、運動や労働の程度、そのほか暑さに慣れているかどうかなどによっても熱中症は起こったり起らなかったりする。
 どんな人が熱中症になり易いか
 熱中症による死亡率をみると、乳幼児と高齢者がかかり易く死亡のリスクも高い。元気盛りの人でも体調や作業環境によっては熱中症の危険が大きくなる。高温環境での運動や作業をする場合は注意を要する。
 どうして熱中症は起こるのか
 体には体温調節機能があり、暑い時には汗をかいて体表面から熱を逃がし、上昇した体温を下げようとする。しかし高温多湿な環境が続くと、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり体内に熱がこもった状態となる。これが熱中症。リスクは屋外だけでなく、乳幼児や高齢者では室内にいる時でも発症し、救急搬送されたり、死亡に至ることもある。
 熱中症の症状
 熱中症にはめまい、立ちくらみ、失神、顔面蒼白といった症状が見られる。熱中症になると皮膚の血管が拡張して血圧が低下、これにより脳の血流が低下してさまざまな症状が起こる。脈が速くなり呼吸回数も多くなる。また、こむら返りや筋肉の痙攣なども起こり易くなる。
 熱中症対策
 @熱中症の症状が見られたらエアコンの効いた部屋で休ませるのが得策だが、そういった部屋が近くに無い場合は日陰の涼しい場所に移し、衣服を緩めてリラックスさせる。
 A顔が赤ければ頭を高く、青ければ足を高くして寝かせる。
 B首筋、脇の下、足の付け根などを冷たいペットボトルやアイスノン、冷たいタオルなどを当てて冷やすと効果的。
 C意識があり嘔吐が無ければ口から水分を補給する。水分だけでなく塩分などの電解質も失われているので、スポーツドリンクや塩分、電解質、糖などがバランス良く配合された経口補水液を補給するとさらに効果的。
 D皮膚が熱ければ扇子やうちわなどで風を送る。また熱い部分に濡れタオルなどを当てる。
 E意識が無かったり急に体温が上がったりしたら直ちに救急車を呼ぶ。
 熱中症予防のために
 @体への蓄熱を避けるため、通気性、吸湿性、速乾性のある衣服を着用する。外出時には日傘や帽子を使用する。
 A室内ではエアコンや扇風機などで温度を調節し、室温をこまめに確認する。
 B暑さ指数(WBGT湿球黒球温度)は熱中症予防を目的として1954年にアメリカでつくられたもので、体の熱収支に影響を与える気温、湿度、日射・輻射を取り入れた指標。日本体育協会では熱中症予防運動指針としてWBGT28度以上を厳重警戒しており、炎天下の外出を避け、室温の上昇に注意するよう呼びかけている。また、運動や激しい作業をする場合は定期的に休憩を取り入れるよう指導もしている。高齢者では31度以上になると安静時でも熱中症を発症する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内にとどまるのが安全。
 C体への蓄熱を避けるため、外出時はもちろん室内でも喉の渇きを感じる前にこまめに水分・塩分を補給することが大切。高齢者では暑さや水分不足の感覚が低下しているケースもあるので注意が必要。
 Dけいれん、意識障害、手足の運動障害、おかしな言動といった症状がある場合は入院・治療が必要。