2016.5月号より

男性更年期

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


更年期障害といえば、一般的には女性特有の更年期障害をイメージするが、実は男性にも更年期障害は存在する。50歳を過ぎたあたりから疲れがなかなか取れない、だるい、眠りが浅いなど原因のはっきりしない身体的不調を感じる時がある。年齢からくる体調変化だろうと漠然と考えていることが多いようだが、実はホルモン分泌の変化が影響している場合がある。
 男性には女性の閉経のような劇的なホルモン分泌の変化はない。しかし中高年になると男性ホルモン(テストステロン)の分泌が減少する。このことは加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)と呼ばれ、体と心に色々な症状を呈してくる総称。
 男性の人生でテストステロン分泌が最も高い時期は20歳代で、中高年になるとテストステロン分泌は次第に減少してくる。テストステロンの平均値は30歳代16・8(pg/ml)、40歳代13・7、60歳代10・3、70歳代8・5。
 テストステロン分泌は個人差が大きく、80歳でも30歳並のテストステロン値を保っている人もいるし、逆に40歳代でも70歳代くらいの値の人もいる。一般的には年齢と共に下がっていくテストステロンをどう保つか、あるいは補っていくかがポイント。
 一般的に男性ホルモンの減少というと性欲減退や勃起障害(ED)などと結びつけられるだけと思われがちだが、男性ホルモンは性的な面だけでなく、精神的な面にも多大な影響を及ぼしている。男性ホルモンが少ないとやる気の減退やうつ症状など、一見男性ホルモンと関係がないような身体の様々な不調にも密接に関わっていることが多い。
 男性更年期障害(LOH症候群)対策
 男性更年期障害はLOH症候群とも呼ばれ加齢と共に増加するが、発症年齢や症状の程度には差がある。高血圧や糖尿病、メタボなど生活習慣病の合併や運動不足、過食、タバコ、飲酒などライフスタイルの影響が非常に大きい。テストステロンは血液や唾液から調べることが出来、ホルモン補充療法も可能である。ホルモン補充療法は医師の診療が必要で、テストステロン値が8・5pg/ml未満の場合には治療対象となる。
 食事の改善
 40〜50歳代になると若い頃と同じ食事をしていても太る人が多い。テストステロンが減少すると脂肪の代謝が低下するため内蔵型肥満が生じやすくなる。従って摂取カロリーの制限がポイント。食事では脂質を減らし、食物繊維を増やすこと。
 男性更年期障害にはまず運動を
 肥満、筋力の低下を予防するのに効果的なのは運動。特に歩くこと、ジョギングなどの有酸素運動がおすすめ。日常生活の中でも身体活動を取り入れ運動習慣をつける。エスカレーターやエレベーターを使用しないだけでもかなりの運動量となる。趣味としてジョギング、ゴルフ、テニス、山歩きなど仲間と楽しみながら運動ができれば、ストレスからも解放され、気分転換にもなると同時に、テストステロンを高める効果も期待できる。
 生活の質を高めよう
 タバコは肺がん、慢性閉鎖性肺疾患(COPD)、心筋梗塞などのリスク要因。男性更年期障害は喫煙者に多い傾向が見られる。喫煙しているのであれば禁煙を決断する。禁煙外来での新薬(チャンピックス)は喫煙ストップにかなり有効。過量の飲酒では男性更年期障害の発症リスクが増加する報告もあり、飲酒はほどほどに。
 これを機に自己の日常を振り返ってみるのはいかがですか?