2016.3月号より

コレステロール

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


コレステロールは食物からも吸収されるが、多くは肝臓でつくられ血流に乗って全身に運ばれる。コレステロールは脂質なので、血液に溶けず主にLDLとHDLの2つの粒子に含まれて血液中を流れていく。
LDLコレステロール
LDLコレステロールは肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ大事な役割を担っている。しかしLDLコレステロールが血液中に増え過ぎると血管壁の中に入り込むようになり、血管壁でコレステロールが固まり動脈硬化を引き起こす。そのため「悪玉コレステロール」と呼ばれている。数値で140mg/dl以上の場合は注意が必要。
HDLコレステロール
HDLコレステロールは過剰なコレステロールを肝臓に戻す役割を担っている。血管壁に溜ったコレステロールを抜き取って回収、動脈硬化の進行を抑える働きをするので「善玉コレステロール」と呼ばれている。従ってHDLコレステロールが40mg
/dl以下と低い場合は動脈硬化が進行する。
中性脂肪
中性脂肪も体には必要で、細胞が活動するための燃料になる。しかし中性脂肪が150mg/dl以上の場合は注意が必要となる。
LDL、HDL、中性脂肪の相互関係
血液中に中性脂肪が増えるとLDLは小型化し、血管壁の中に入り込み易くなる。小型化したLDLは血管壁内でコレステロールの塊をつくり、超悪玉として動脈硬化を一層進める。つまり中性脂肪は悪玉LDLの味方、善玉HDLの敵のような存在になり、動脈硬化を促進する。
内臓脂肪は動脈硬化の元
内臓脂肪が増えることで脂質異常症となり、血液中のHDL(善玉)コレステロールの減少と中性脂肪の増加が起る。たとえLDL(悪玉)コレステロールが高くなくても、高血糖や高血圧などのために動脈硬化が促進してしまう。
肥大した脂肪細胞は悪さをする
脂肪細胞はエネルギーの貯蔵庫と考えられていたが、実は非常に重要な役目をする内分泌組織であることがわかってきた。肥満ではない人の脂肪細胞からは血管を保護したり、糖尿病を防ぐ健康に役立つ良い物質が分泌されている。一方肥満した脂肪細胞は2〜3倍大きくなり、脂質異常症や高血糖、高血圧、動脈硬化などを引き起す悪い物質を分泌すると考えられている。
コレステロールの治療目標
LDL(悪玉)コレステロールを下げることは動脈硬化による病気(脳梗塞、心筋梗塞など)を予防する。LDL(悪玉)コレステロールの目標値は持病やリスクの程度によって異なる。既に狭心症や心筋梗塞を起した人は100mg/dl以下に、糖尿病、慢性腎不全、動脈疾患のある人は120mg/dl以下を目標にする。
食と運動で予防する
動物の肉に多く含まれている飽和脂肪酸は体内でLDL(悪玉)コレステロールを増やす。一方魚には不飽和脂肪酸という常温では固まらない油が多く含まれている。秋刀魚、鰯、鰤など青背の魚に多いEPAやDHA等魚の油はLDL(悪玉)コレステロールを増やさず、中性脂肪を減らし、血圧を下げる効果がある。

 運動には肥満を防ぎ、HDL(善玉)コレステロールを増やし、血圧や血糖を下げる効果がある。また運動には血管の内皮細胞から一酸化窒素の放出、血管壁をしなやかにする効用もある。運動は少し息が切れる位のきつめの有酸素運動がおすすめ。ウォーキング1日30分程度、ジョギング、水泳など。1週間の運動時間が180分以上を目指す。継続が鍵!