2016.2月号より

サルコペニア肥満

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


40代は肥満傾向
2013年厚生労働省の国民健康
・栄養調査によると、「肥満」とされるBMI25以上の割合は男性が28
・6%、女性は20・3%。男性は2009年をピーク(30・5%)に減少傾向で、女性は「標準(18・5〜25)」が減り「痩せ(18・5未満)」の増加が目立っている。年代別では、男性の40歳代に「肥満」が最も多く34・9%、女性は70歳以上が27・1%と最も多い。
経済協力開発機構(OECD)の統計では「肥満」は2012〜13年時点でアメリカ35・3%、カナダ25
・8%、英国24・9%と多くみられ日本は3・7%で諸外国に比べかなり少なかった。
内臓脂肪型肥満(ぽっこり腹)
腹がぽっこりとした肥満は内臓脂肪によるもので、肝臓や胃・腸の周囲に脂肪が溜まっている状態。脂肪細胞は余分なエネルギーを脂肪として溜め込むため、細胞は2〜3倍の大きさに肥大する。へそ周りの腹囲が1a増えると内臓脂肪はおよそ1`増えることになる。
内臓脂肪型肥満では脂質異常症、高血圧、高血糖を招きやすくなる。脂質異常症では血糖検査でLDL(悪玉)コレステロール140mg/dl以上、HDL(善玉)コレステロール40mg/dl未満、中性脂肪150mg/dl以上という異常値を示す。中性脂肪が多すぎるとLDLコレステロールは血管の壁に入り込みやすくなり、HDLコレステロールが減少、動脈硬化が進行し、高血圧や高血糖を招く。
動脈硬化が起こす病気
動脈硬化の進行は脳の血管が詰まる脳梗塞を引き起こす。また心筋に血液を供給している冠動脈の血流が悪くなり、狭心症の原因ともなる。一部が完全に詰まると心筋梗塞を発症する。これらの発症にはLDLコレステロールが深く関係している。
LDLコレステロールは個人の体質によって変化し、女性ホルモンが減少する閉経後の女性や、肉の脂身等の飽和脂肪酸の摂り過ぎ等で増える。また、中性脂肪は食べ過ぎや運動不足、肥満、アルコールの飲み過ぎ等でも増加する。
サルコペニア肥満
サルコペニア肥満とは、加齢と運動不足によって、筋肉が減り脂肪が増えることで、運動機能低下に肥満が加わった状態を言う。
筋肉が減り脂肪が増える―一見矛盾するように見えるが、この変化はコインの裏表の関係。特に運動をしていなければ筋肉は30歳あたりから少しずつ落ちて来る。筋肉が減れば余ったエネルギーは脂肪に変わり体に溜まる。BMIが標準でもCT検査で体の断層画像を見ると、筋肉だった部分が脂肪に置き換わっている人は意外に多い。この状態がサルコペニア肥満。ただでさえ加齢と共に筋肉が減りやすいうえ、普段あまり運動しない生活を続けていればサルコペニアは進みやすくなる。結果、動くのがますます億劫になり、脂肪も溜まってサルコペニア肥満が進行する悪循環に陥ってしまう。
サルコペニア肥満の予防
サルコペニア肥満を予防するためには必要な筋肉を取戻し、余分な脂肪を落とすことが必要。そのためには毎日の運動習慣が不可欠となる。筋肉を鍛えるうえで大切なのは強さと柔軟性。中高年からでもしなやかで質の良い筋肉を育てることは十分可能。専門医や運動指導士の指導を仰ぐのが得策。

 筋肉を育て脂肪を減らすには運動とともに食生活の工夫も求められる。カロリーは控えめに、栄養バランスを考えてほしい。中高年になると動物性タンパク質の摂取が少なくなる傾向があるので、肉や魚を意識して摂るよう心掛けることが必要。