2016.1月号より

スーパー高齢社会

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


世界トップクラスの長寿
日本は2014年、平均寿命が女性86・83歳(世界1位)、男性80・50歳(世界3位)と世界トップクラスの長寿国となった。男性の平均寿命も初めて80歳を超え1000万人以上、65歳以上は最多3300万人以上と増加し、今やスーパー高齢社会というべき時代となった。男女間の年齢差は6・3歳で、女性寿命の延びによって拡大傾向にあったが、最近では次第に短縮してきている。
古代日本人の寿命
紀元前1万年前後における縄文人の平均寿命は男女共に14・6歳と短命だった。医療未発達の有史以前の、とてつもなく高い乳幼児死亡率によるためと解される。15歳まで生きた縄文人の平均余命は男女とも31歳位だったようだ。従って15歳以上の女性は、平均余命いっぱいの16年間において、民族維持のため2年に1回の割合で出産しなければならなかった。出産そのものが高リスクで厳しい生存環境の中、種族存続のためには限界に近い出生率が最低必要条件であったと推測される。縄文人の残した土偶は乳房や腹部が強調された造形で、多産や豊穣への切実な祈りを表現している。
氷河期が終わった今から1万年前、気候温暖化のため海水面が上昇、最盛期には現在の海面より10〜20a高かったと考えられている。大陸から孤立した縄文人とアイヌ族は、大陸からの民族の移動に脅かされることもなく平和に暮らしていた。
日本人の平均寿命の推移
室町時代(1392年〜)、足利尊氏が政権を握り、京都室町に室町幕府を開いた時代の平均寿命は男性15・2歳、女性17・3歳であった。
江戸時代(1600年〜)、徳川家康が関ヶ原で勝利を収め、幕府を江戸に開いた時代の平均寿命は男女性とも20・3歳であった。徳川15代の将軍たちの平均寿命は50・5歳、庶民よりはるかに長命であったようだ。
江戸時代中期以降、オランダによって西洋の学術、蘭学が紹介された。文明開化を迎え、医学のみならず数学、天文学、化学などの学問が進歩した。
大正時代(1912年〜)の平均寿命は男性42・1歳、女性43・2歳と延長した。
第二次世界大戦直後の1947年(約70年前)、平均寿命は男性50・1歳、女性54・0歳と初めて平均寿命が50歳を超えた。その後は医療の目覚ましい発展、国民総健康保険制度等により今日に至っている。
いくつになったら高齢者?
日本老年学会は、現在の高齢者は10〜20年前に比べ5〜10歳は若返っているとし、高齢者を65歳以上とする定義の妥当性を検討すべしとしている。国立長寿医療研究センターの鈴木隆雄所長は実態調査の結果、65歳以上の高齢者の歩く速度が10年間で11歳以上も若返っており、高齢者の運動機能は明らかに上がっていると述べている。
高齢者の健康因子
アメリカで最近発表された論文に、65歳以上の4490人を22年間観察し、心臓病にかからないための健康因子について研究した成果が発表された。それによると@1日30分、時速3`程度のウォーキング、ゴルフなら丘陵コースで2時間、テニスなら1時間半、水泳なら30分が目安。ABMI30未満を維持(肥満防止)。B禁煙。C飲酒は週1回。これらの生活習慣により、心臓病になる確率を45%予防できたとする結果であった。

 新年を迎えるに当たり、人類が到達したスーパー高齢社会を上手に生き抜くための健康因子の目安となれば幸いです。