2015.9月号より

骨粗鬆症

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


厚労省の統計などによると国内の骨粗鬆症の患者は、高齢女性を中心に年々増加しており、自覚症状のない人を含めると推計で千百万人超に上る。ホルモンの分泌バランスが変化する更年期以降の女性に多く、60代女性の3人に1人、70代女性の2人に1人が骨粗鬆症の可能性があると云われている。初期の段階では自覚症状がなく、骨折して初めて気づくケースも少なくない。
 骨の特性
 骨は建築に使われている鉄骨とは異なり、骨芽細胞と破骨細胞によって骨の形成と吸収がバランス良く行われ、古い骨を壊し、新しい骨を作り一定量を保っている。また骨にはコラーゲンの繊維があり、それは「梁」のようなもので弾力性を保っている。高血糖(血糖値が高い)状態が続くとコラーゲンに糖化が起り、骨のしなやかさが失われ、圧迫骨折などが起り易くなる。
 骨粗鬆症
 骨粗鬆症は骨の強度が弱くなり、軽い衝撃でも骨折を起し易くなる病気。骨粗鬆症の人が骨折を起すと、背骨の変形や腰痛が起ったり、寝たきりの原因にもなる。
 骨の強度には「骨密度」と「骨質」の2つの要素が関係している。骨密度は骨に含まれるミネラルの量に、骨質は骨の素材としての質やその素材を基にして作り上げられた構造特性による。以前は骨密度の減少が骨粗鬆症を引き起す原因として重視されていたが、最近では骨質も重視されるようになった。骨粗鬆症は閉経による女性ホルモンの変化等で、ホルモンのアンバランス、加齢、栄養のアンバランス、運動不足、他の病気の影響など様々な原因が関係して、骨の代謝に異常が生じ、骨密度が減ったり、骨質が悪くなることで起る。
 骨粗鬆症の診断
 骨粗鬆症の診断は@脆弱性骨折が認められる。A骨折はないが、骨密度が若い人達の平均値(YAM)の70%未満または脊柱X線検査で骨粗鬆症を認める所見などがあれば骨粗鬆症と診断する。簡易的な検査としては超音波による骨密度の判定がある。踵や手首で簡単に検査できる機種も使用されている。
 骨粗鬆症の予防
 骨を作り、強くする生活習慣を心掛けるとともに、転倒のリスクを減らすことがポイント。
@骨に必要な栄養素をバランス良く摂ること。骨の形成に必要なカルシウム、ビタミンD、ビタミンK等を含む食物を意識しながら、バランスの良い食事を心掛ける。
 カルシウムを多く含む食品
 スキムミルク、プロセスチーズ、ヨーグルト、豆腐、納豆など。
 ビタミンDを多く含む食品
 きくらげ、鮭、ウナギ、サンマ、ヒラメ、カレイなど。
 ビタミンKを多く含む食品
 卵、納豆、ほうれん草、小松菜、にら、ブロッコリー、海苔など。
 一方市販されているカルシウム薬やサプリメントは、食事から摂るカルシウムとは特性が異なるため、過量摂取はむしろ害となることもあるので、気を付けなければならない。
 適度な運動はロコモを防ぐ
 骨や関節、筋肉等が衰えて、立つ
・歩く動作が難しくなり、寝たきりになるロコモティブシンドロームを予防する為には適度な運動を行い、骨量を保ち、筋力をつけて転ばない体づくりを心掛けることが大切。
 喫煙は女性ホルモンの作用を妨げたり、カルシウムの吸収を減らし骨折リスクを高めるとも云われている。またアルコールは多量に摂り過ぎると転倒し易くなるだけでなく、カルシウムの吸収を悪くし、骨折リスクを高くするので要注意