2015.6月号より

『 熱中症ガイドライン2015 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 熱中症とは
 熱中症は屋外、屋内を問わず、高温、多湿が原因となって身体が適応できなくなった状態。日射病とは違い、部屋の中で発症するケースも、年々増加傾向にある。平成25年の熱中症入院数は約三万六千人。うち死亡者は五百五十人。65歳以上の死亡は四百七十四人で死亡例の86%を占めた。
 熱中症にかかり易い人
 65歳以上の高齢者、5歳以下の幼児は要注意。下痢があったり、脱水気味の人、発熱、睡眠不足等も要因となる。室内での熱中症は高齢の女性や独り暮らしの人に多く、認知症、高血圧、糖尿病等の持病があると重症化し易い。
 どんな環境が危ないか
@前日より急に気温が上昇した日。
A気温はそれほど高くなくても湿度が高い日は汗による蒸散ができず、体内の熱の発散ができなくなる。
Bエアコンの効いた涼しい室内環境にいた人が、外出した場合等では暑さに慣れていないためなり易い。
Cスポーツや仕事の日程の初日〜数日間が発症し易い。
D長時間にわたる屋外でのスポーツや仕事。屋内であっても防具や厚手の衣服を付けての行動。
E統計的に熱中症にかかり易い時間帯は午前10時頃、午後13〜14時頃に発症件数が多い。
 熱中症の重症度
 日本救急医学会は初めて熱中症診療ガイドライン2015を発表した。それによれば熱中症の重症度を3段階に分け、頭痛や嘔吐等があれば、医療機関の受診が必要としている。症状の軽重に関わらず、誰かがそばで必ず見守り、回復しなければ医療機関を受診することを勧めている。
 重症度T度―目眩、立ちくらみ、生あくび、大量発汗、筋肉痛等の症状。現場で体の表面を冷やし、水分や塩分の補給等応急手当てをする。症状の改善が見られない場合は直ちに医療機関を受診する。
 重症度U度―頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感。これらの症状が見られたら医療機関を受診。水分・塩分の補給や体を冷やす等の応急処置が必要。
 重症度V度―意識障害、けいれん発作。直ちに救急車を呼び、医療機関に入院、治療が必要。
 熱中症の応急措置
 身体の冷却と水分補給が基本。
@涼しい場所で休ませ衣服を緩める。
A霧吹きや口に水を含んで全身に吹きかけ、気化熱によって身体を冷やす。
B冷えたペットボトルや缶ジュース、水枕等を頚部、脇の下、鼠径部に当てて冷やす。太い血管が体表面の近くにあるので、冷却は効果的。
C0.1〜0.2%の食塩水を飲ませる。水分だけでは体内の塩分が薄まって、けいれんを惹き起し易くなる。スポーツドリンクでも問題ないが、塩分量が少なく糖分が多いので注意。
 熱中症対策
@気温35℃以上では運動は禁止。31
℃以上では激しい運動は中止する。
A27℃以上では室内外の冷却や直接的な体表面の冷却によって体感温度を下げる。水分・塩分が失われないような環境を作ることに留意する。
B体感温度が下げられない環境下では、発汗によって失った水分と塩分の補給をこまめに行う。塩分の補給には味噌汁やスープなど塩気の感じられるものが適している。
C普段から睡眠を充分とる。
D暑熱環境下でのスポーツや仕事では休憩時間を設け、体温を下げる。
E高齢者では日常生活の中で、男女とも非労作性熱中症の発症頻度が高い。特に独居、日常動作の低下、精神疾患や心疾患など基礎疾患を有するケースでは熱中症の危険因子となるので特に注意が必要。