2015.4月号より

『 よく眠れてますか 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


睡眠のしくみ
 人間には24時間周期でリズムを刻む「体内時計」が備わっており、特に意識しなくても日中はカラダとココロが活動状態に変る。体内時計は毎朝光を浴びるとリセットされ、夜になると自然に眠くなるしくみ。体の全ての臓器にも体内時計があり、血圧の日内変動やホルモンの分泌、自律神経の調節などの生体リズムに関わっている。
 夜になると体内時計によって休息の状態に切替って自然と眠くなる。この切替えに重要なのがメラトニンというホルモン。メラトニンは夜暗くなると脳の松果体から分泌され、体内時計を夜の休息状態に切替る。
 また、目覚めている間に脳に疲れが溜まり、脳の活動が低下して眠くなるというしくみもある。寝不足になると次の晩はぐっすりと長時間眠れるのはこのしくみのため。
 8時間睡眠神話
 高齢者に多いのが「健康のために8時間はぐっすり眠りたい」という願望。睡眠は加齢とともに変化し、40歳を過ぎると中途覚醒が現れ、深い眠りも減ってくる。健常者を対象とした睡眠ポリグラフ検査の結果は、自覚的な不眠がない人でも、睡眠時間は60歳なら平均6.2時間、70歳なら5.9時間程度。
 日中に眠気や倦怠感、集中力の低下といったQOLの低下がみられる不眠なら実睡眠時間は年齢相応であれば心配ない。
 「体だけでも休ませる」は逆効果
 眠れない時に、布団で横になって体だけでも休ませることは却って不眠を悪化させるという説もある。そのわけは布団が眠る場所ではなく眠れない場所として心に刻まれてしまうことだ。布団に横になって「まだ眠れない、早く眠りたい」と煩悶すると脳の覚醒レベルが上がり、ますます眠れなくなることは多くの人が経験していることだ。そんな時には布団から出て、リビングなどで過ごし、眠気が出てきてから布団に戻る余裕も必要だ。
 睡眠薬の服用
 よく見られるのは睡眠薬の自己調節。睡眠薬の量を減らそうと錠剤を半分に割って飲む、或は眠れそうな日は飲まないといった習慣。その背景には睡眠薬は癖になる、飲み続けていると量を増やさないと眠れなくなるといった睡眠薬に対するネガティブな思い込みがあるようだ。睡眠薬の正しい知識と適切な使用はQOLの改善に役立つ。
 より良い眠りのために
 より良い睡眠のためには生活習慣の改善に努め、体内時計を調えることが大切と久留米大学神経精神科内村直尚教授は次の12ヵ条を述べている。
第1条…朝起きたらカーテンを開け、日光を取入れましょう。
第2条…休日の起床時間は平日と2時間以上ズレないようにしましょう。
第3条…1日の活動は朝食から始めましょう。
第4条…昼寝するなら午後3時までの20〜30分以内にしましょう。
第5条…軽い運動習慣を身につけましょう。
第6条…お茶やコーヒーは就寝4時間前までにしましょう。
第7条…就寝2時間前までに食事を済ませましょう。
第8条…タバコは就寝1時間前にやめましょう。(勿論禁煙が原則)
第9条…就寝1〜2時間前にぬるめのお風呂に入りましょう。
第10条…部屋の照明は明るすぎないようにしましょう。
第11条…寝酒はやめましょう。
第12条…就寝前のパソコン、テレビ、携帯電話やテレビゲームは避けましょう。
 是非お試しあれ。