2015.2月号より

『 自分の遺伝子がわかる 』

社会医療法人福島厚生会
理事長  星野 俊一


 遺伝子とは?
 親から子供に身体的特徴が遺伝するのはよく見られる現象。その特徴を決めているのは「遺伝子」。遺伝情報はどの細胞にも存在する「DNA」の並び方で決まる。人間では60兆個にも及ぶすべての細胞に存在し、体の細胞、器官、臓器が作られていくための「体の設計図」とも云われている。DNAは精子と卵子の中にも存在し、受精を経て親の特徴は子に遺伝する。DNAの持つ情報で、外見的特徴や病気になり易さ等身体的特徴が決まる。DNA情報に基づいて子孫に受け継がれる特徴を「遺伝形質」といい、遺伝形質を決める因子を「遺伝子」と呼んでいる。
 将来医療もオーダーメイドになる
 遺伝子型が同じタイプの人達は特定の病気にかかったり、太り易さや痛みの感じ易さなど、似たような体質を持っている。
 例えばある種の薬の効果がAさんとBさんで異なるとか、副作用の出方がCさんとDさんで違う。遺伝子の解明はその個人にとって最も効果的な病気の治療や予防に役立てることができる。近未来では一人ひとりの遺伝子の状況に即した医療が可能となり、医療はオーダーメイドとなりそうだ。
 遺伝子検査
 最近インターネットを通じて簡単に遺伝子検査を申込み、結果を受取れる検査が出回っているようだ。遺伝子検査は、様々な遺伝子型を持つ集団が持つ特徴を根拠に、病気のかかり易さや体質を表している。しかし自分と同じ遺伝子を持つ集団が、ある病気にかかり易いことは判明しても、実際にその病気を発症するかどうかは別の問題であることを認識する必要がある。
 個人が病気になる要因には遺伝的なものと生活習慣や環境によるものの二つの面がある。ある特定のガンになり易さは個人の遺伝子と関連している報告は多くあるが、ガン発症には生活習慣・環境の要因も大きく影響する。肺ガンなら喫煙、皮膚ガンなら紫外線がガン発症と関連している。例えガン発症の可能性が高い遺伝子を持っていたとしても、禁煙や紫外線対策など生活習慣や環境要因によりガン発症のリスクを下げることが可能である。
 遺伝子検査結果の読み方
 遺伝子検査は目的によって@病気の診断や治療法を決めるA親子関係を調べるB特に病気ではない人が病気にかかり易さや体質を調べるなどがある。最近のインターネットで行っている検査はBに当る。自分と同じ遺伝子を持つ集団がある病気にかかり易いことが科学的に確かでも、実際に病気を発症するかどうかは別の問題。例えば自分と同じ遺伝子型の人々がそうでない人達と比べ、糖尿病に2倍かかり易いという事は分かるが、自分が糖尿病になるかどうかは検査からは何も云えない。遺伝子の研究は年々進歩している。検査結果の読み方も来年には変わる可能性もある。
 遺伝子検査を迷っている方へ
 東大の武藤教授が迷っている人へアドバイスとして次の10カ条を挙げている。
 @遺伝子検査は病気の診断ではない。A(検査)会社によって答えはバラバラ。B研究が進めば病気にかかる確率は変わる。C結果は予想外になるかもしれない。D知らないでいる権利もあります。E知った後は戻れない。F自分で知ろうと決めたら医師に頼るのはやめましょう。G血縁者と共有している情報を大切にしよう。H強制検査・無断検査はダメ。I子どもには、大人になって自分で選べる権利を残しましょう。
 さて、あなたは自身の遺伝子とどう向き合いますか?